碁石茶(ごいしちゃ)
発酵食品
高知県碁石茶(ごいしちゃ)
分類(大)
その他
分類(小)
飲料
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
画像提供元:土佐伝統食研究会
この画像はダウンロードできません
主な伝承地域
大豊町
食品概要(特徴・種類)
碁石茶は、高知県大豊町に伝わる発酵茶で、発酵茶の中でも「後(こう)発酵」と呼ばれる独自の製法で400年にわたり作られてきたお茶である。緑茶とは異なる、甘酸っぱい風味と香りが特徴で、これは発酵により作られた乳酸菌によるものである。
碁石茶の茶葉は大豊町の山間地で栽培されている。南には吉野川が流れる山の南東斜面に位置する集落一体は霧が多く、日照時間が長いというお茶の生育に適した場所である。収穫した茶葉を、蒸した後にカビ付けし、次に発酵した茶葉を漬け物と同じ要領で重石をのせて漬け込む「2段階発酵」により、同じく発酵茶として知られるプーアル茶の23倍以上とも言われる乳酸菌が含まれる点でも注目されつつある。
歴史・文化、関連行事
名前の由来は、仕上げの段階で茶葉を天日干しする際に、茶葉が並べられた様子が黒い碁石を彷彿とさせることからその名が付けられた。その起源には諸説あるが、日本に伝わったのは室町時代の頃、朝鮮や中国沿岸を荒らした瀬戸内や北九州の倭寇が製法とともに現在の大豊町に伝えたと言われる。瀬戸内の塩飽諸島の一つである志々島では季節の野菜と米を碁石茶で炊き込んだ「塩飽茶粥」を食べる習慣があることから、古くからこの地域で親しまれてきたことがわかる。そのルーツをたどると、中国雲南省の少数民族の布郎(プーラン)族に「酸茶」という発酵茶があり、碁石茶と原理的には同じ製法であることから、碁石茶はミャンマーをも含めた中国雲南省にルーツがあると推定される。
土佐では碁石茶はかつて塩と交換する貴重な特産品として生産されていた。昭和時代に入ると過疎化や食生活の変化の影響で生産は減少。その中で唯一、小笠原家が伝統を守り、健康ブームの中で再び碁石茶は注目を集めるようになった。現在、小笠原家を含む4つの農家と1法人によって受け継がれている。
製造方法
原料は2種類の山茶とヤブキタ茶。葉が最も厚くなる6~7月を狙って枝ごと収穫する。収穫した葉を大型の桶で蒸し、土間で1週間放置する。この時、土間にすみついたカビが茶葉を発酵させる。次に、この茶葉を桶に詰め、重石を置いてさらに2週間ほど漬け込む。この2回の発酵プロセスにより乳酸菌が増殖する。完成した茶葉は3cm角に切り、夏の炎天下で乾燥させる。400年にわたり守られてきたこの製造方法は、気温や天候に影響を受けるため、生産者の経験と勘が不可欠である。
保護・継承の取り組み
現在では、大豊町碁石茶協同組合が組織され、伝統的製法を守りながら製造が続けられており、物産店やウェブサイト等で購入することができる。その他、碁石茶アイスや、強炭酸水で仕上げた「碁石茶スパークリング」など、新たな商品開発にも取り組んでいる。
なお、碁石茶と同じ「後発酵茶」として、徳島県の阿波番茶、愛媛県の石鎚黒(いしづちぐろ)茶があり、2018年にそれらをまとめた「四国山地の発酵茶の製造技術」が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定された。
主な食べ方
飲料として飲むほか、香川県の志々島では古くから、碁石茶を使った茶粥が食されてきた。現代では、飲むだけでなく、健康食材として様々な料理に活用され、その用途は広がりつつある。