葉ニンニクのぬた(はにんにくのぬた)
高知県葉ニンニクのぬた(はにんにくのぬた)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
葉にんにく、砂糖、味噌、酢
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主な伝承地域
高知県全域
食品概要(特徴・種類)
葉にんにくのぬたは、葉にんにくをすり潰したものに味噌や酢を混ぜて作る伝統的な調味料。どろめ(生しらす)、ブリやハマチなどの刺身、こんにゃくや厚揚げなどにつけて使われる。一般に「ぬた」とは、ねぎや魚、貝、ワカメなどを酢味噌やからし酢味噌で和えた料理を指すが、高知県では特に葉にんにくを細かく刻んで混ぜた緑色の酢味噌を指す。
葉にんにくとは、にんにくの成長過程の若い葉であり、12 ~2月頃までの約2か月間しか収穫できない。これは春頃になると養分がにんにく芋の部分に回ってしまうためである。葉にんにくは、にんにく特有の臭みや辛味が少なく、独特の香味とピリッとした辛味を持つ。さっぱりとした口当たりは、魚介の脂とよく合う。また、明るい緑色が様々な料理に彩りを添える。
葉にんにくは日持ちしない食材であり、ぬたに加工しても保存性は高くない。現在では、伝統的な製法を基に作られたたぬたが冷蔵・冷凍品として販売されており、一年中楽しめるようになった。
歴史・文化、関連行事
葉にんにくを食べる文化の起源には諸説あるが、16世紀末に土佐国の戦国大名である長曾我部元親(ちょうそかべもとちか)が朝鮮の役から帰国した際に、この食文化が伝えられたという説が有力である。3月3日の桃の節句には、お雛様の前に葉にんにくと赤芽芋(赤色をしたさといもの一種)を供える風習も残っており、古くからこの食材を食す文化が根付いていることを示している。
ぬたという名前の由来は、沼や田んぼのドロドロとした見た目からその頭文字をとってぬたという名前が生まれたと言われている。
古くからブリの産地としても知られる高知県では、脂がのったブリを刺身で食べる際に、醤油ではなくタレとして葉にんにくのぬたを使うのが一般的である。葉にんにくのぬたが刺身にしっかりと絡む相性の良さと、さらにはお酢と葉にんにくの殺菌効果や健康増進効果も合わさり、葉にんにくのぬたの使用が定着したと考えられている。
製造方法
葉にんにくのぬたは、地域や家庭によって様々な味付けがある。基本の製造方法は、細かく刻んだ葉にんにくをすり潰し、そこに味噌、酢、いりごまを混ぜる。最後に砂糖を加えて味を調整する。味噌には白味噌が一般的だが、地域や家庭によっては、赤味噌や合わせ味噌を用いるところもある。酢に関しても、米酢から一般的な醸造酢、酢みかん果汁(柑橘の絞り汁)など様々である。これらの多彩な材料の中から、自分の好みに合わせたぬたを作るのも一つの楽しみと言えるだろう。
保護・継承の取り組み
南国市では、古くから葉にんにくの栽培が盛んであり、近年では葉にんにくを有望品目として生産を拡大し、現代のニーズをふまえた多彩なレシピの提案を行っている。地域の食品企業が独自のアレンジを加えた加工品を開発し、かつては冬の限定品であった葉にんにくが一年を通して楽しめるようになった。
主な食べ方
タレとして刺身だけでなく、様々な食材に使われる。また、地域ごとにぬたの呼び名やアレンジが存在するのも特徴。例えば、赤岡町では「あおぬた」と称され、酒や塩を隠し味として加えることがあるとされている。また、ぬたを添える魚介も地域によって異なり、赤岡町ではドロメ、高知市ではクマビキ(シイラ)が好まれるという。