はっと
宮城県はっと
分類(大)
農産
分類(小)
穀類
主な使用食材
小麦粉
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出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
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主な伝承地域
県北地域
食品概要(特徴・種類)
はっととは、小麦粉を練って薄く伸ばし、醤油や味噌で仕立てた汁に摘み入れてゆでたり、お湯でゆでて餡と絡めたりしたもの。モチモチ・ツルツルとした食感が特徴の、登米市やその周辺に伝わる郷土食である。登米地方、栗原地方では「はっと」「はっとう」、玉造地方では「つめいり」「つみれ」、その他の地域では「ひっつみ」などとも呼ばれている。
歴史・文化、関連行事
仙台藩初代藩主である伊達政宗は藩の財源とすべく稲作の発展に努め、宮城県を現在まで続く米どころにつくり上げた。その一方で、農民たちは米を年貢として納めただけでなく「買米制」によって藩に献上していたため、なかなか米を食べることができなかった。そこで小麦の栽培や小麦を使った食文化が広まっていくこととなる。米の代用食であっても、よりおいしく食べたい。そんな願いからはっとも生まれたと考えられている。
農民が米づくりを疎かにするのではないかと心配した登米地方を治めていた領主が、この料理をハレの日以外に食べることを禁止=ご法度(はっと)にしたことから、「はっと」と呼ばれるようになったと言われている。登米町史には7月7日(旧暦)の七夕に、ハレのご馳走としてはっとを食したとの記述も残されている。
製造方法
小麦粉に水を加え、耳たぶ程度の硬さになるまで練ってからねかせる。ねかせる時間はまちまちで、1日、半日、3~4時間とすることがあり、ねかせるほど弾力が出る。ねかせた生地を指で薄く伸ばしながら、だいこんなどの野菜を入れた醤油汁に直接入れたり、お湯に摘み入れてゆでて用いたりする。
保護・継承の取り組み
「みやぎの食を伝える会」がイベントで紹介している他、登米市でははっとを提供しているお店のマップを公開し、普及に努めている。
また、登米市では、はっとを題材としたPR動画 「Go!Hatto登米無双」を制作・公開。2017年に開催されたアジア最大級の国際短編映画祭である「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」で、観光PR映像462作品の中から大賞である観光庁長官賞を受賞した。
主な食べ方
はっと粉やはっと汁の素などが市販されている他、レトルトのはっともあり、手軽に食べられるようになっている。食べ方は餅と同じく多彩である。汁に入れて煮込んだままものは「つゆはっと」「はっと汁」と呼ばれ、お湯でゆでたものは、かぼちゃ入りの小豆餡(小豆ばっと)、くるみ餡(くるみはっと)、ずんだ餡(ずんだはっと)に絡めたりして食す。
現代でも地域の行事には大鍋のはっと汁を囲むのが定番である。はっと汁のだし汁や具材は、地域や家庭によって異なり、だしはかつお節や煮干し、具材は季節の野菜やきのこ類、鶏、豚など、また味は味噌仕立てや醤油仕立てにし、家庭で代々受け継がれている。この地域で親しまれている油麩を入れることもある。