干し柿(ほしがき)
宮城県干し柿(ほしがき)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
柿
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主な伝承地域
県南部(白石市、丸森町)
食品概要(特徴・種類)
昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿にはビタミンA、C、葉酸、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれており、滋養効果の高い食材として重宝されてきた。その柿を使った干し柿は、干すことで糖分はもちろん、ビタミンAや葉酸などが凝縮される。
宮城県では、県南部を中心に、秋から冬にかけて干し柿に適した「鉢屋柿」という渋柿を使った干し柿作りが盛んに行われる。
歴史・文化、関連行事
干し柿の歴史は古く、平安時代中期の法典「延喜式」にも祭礼用の菓子として食されたことが記載されている。また、貯蔵が可能であったため、非常食に用いられていた。昔の中国では、干し柿の表面につく白い粉「柿霜(しそう)」が砂糖代わりに使われる貴重品だったと言われている。日本でも千利休が茶菓子に用いていたとされる。
宮城県でも、昔から秋から冬にかけて厳しい天候を利用した干し柿作りが行われてきた。白石市で作られる干し柿は、厳しい木枯らしが吹く寒い所にさらされることから「ころ柿(枯露柿)」と呼ばれ、普通の干し柿よりも水分量が抜け、ねっとりとした歯触りで濃い味わいになる。
製造方法
甘い柿はかびやすく、干した際に渋柿の方が甘みを増すため、干し柿作りには必ず渋柿を使用する。収穫された渋柿はへたを取り、皮をむき、紐に通して連(れん)を作る。その後、カビや黒く変色することを防ぐために硫黄で燻蒸してから風通しの良い場所で1か月ほど干す。丸森町では、「はせ」と呼ばれる稲や麦の束を干す竹や木で作った乾燥場に柿を干した「かきばせ」が農道沿いに立ち並ぶ光景が晩秋の風物詩になっている。
保護・継承の取り組み
以前は農家が個々で栽培から生産、出荷までを行っていたが、1952年、「宮城県ころ柿出荷協同組合」が組織され、まとめて出荷されるようになった。1995年には、生産者、行政、農業団体が協力し、柿を地域の戦略作物と位置づけ、白石市の農業活性化を図るとともに、全市的な普及活動を目指し、「柿の里白石」構想が立ち上げられた。その一環として、「宮城県ころ柿出荷協同組合」では、柿の園地造成、遊休農地の柿畑への転換、干し柿生産のための省力施設、設備の導入などを行い、柿生産の拡大に努めている。
また、丸森町では、干し柿作りを体験するツアーを開催し、広報と普及に努めている。
主な食べ方
普段からお茶請けとして、そのまま食べられることが多い。また、贈答品として使われることも多い。
昔から干し柿を料理に使うことも多く、「柿なます」は宮城県のお正月料理の定番である。だいこんとにんじんが使われる「なます」に刻んだ干し柿を加えることで自然な甘みが増し、子供たちにも食べやすい一品となる。その他にも干し柿を使った天ぷらなど、様々な調理法で食されている。
アレンジレシピ:柿なます(4人分)
材料
だいこん
400g
にんじん
80g
干し柿
大1個
合わせ酢 酢:25mL みりん:20mL 塩:5g(小さじ1)
ゆずの皮または生姜のせん切り
作り方
だいこん、にんじんは長さ4cmに切って皮をむき、せん切りにする。ボールにだいこん、にんじんを入れ、塩小さじ1(分量外)をふってかるく全体を混ぜ、約10分おく。 手でかるくもみ、しんなりしたら水を加えて塩を洗い落とし、水けをよく絞る。 干し柿はへたと種を除いて細切りにする。
ボールに合わせ酢の材料を入れて混ぜる。 この中にだいこん、にんじん、干し柿を加えて和え器に盛る。 好みでゆずの皮または生姜のせん切りを混ぜてもよい。
提供元:高澤まき子