ホタテ干し貝柱(ほたてほしかいばしら)
北海道ホタテ干し貝柱(ほたてほしかいばしら)
分類(大)
水産
分類(小)
乾物
主な使用食材
ほたての貝柱
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主な伝承地域
オホーツク海沿岸の地域
食品概要(特徴・種類)
干貝柱は、北海道・オホーツク海沿岸で水揚げされたほたての貝柱を塩茹でして干し上げた乾物。乾燥させることで成分が凝縮され、低脂肪で高たんぱくな食材となっている。長期保存が可能で、1年程度を賞味期限として設けていることが多い。干貝柱は食用のほか漢方薬としても重宝される。干貝柱は粒が大きいものほど旨みが濃く感じられ、小さい粒ほど塩気が強くなると言われる。
歴史・文化、関連行事
オホーツク海沿岸では、江戸時代から明治時代にかけてほたて漁が盛んに行われていた。江戸時代より干貝柱は高値で取引されていたため、北海道では重要な輸出品とされていた。当時は北海道で作られた干貝柱を長崎県の出島まで輸送し、中国の主要な港に運ばれていた。ほたて漁を営むかたわら、漁師やその家族たちが、ほたての身をそのまま乾燥させた「黒干し」が出回っていたが、明治時代に入るとほたての貝柱のみを乾燥させた「白干し」を製造し、現在に至っていると言われている。その後機械化が進み、干貝柱の製造は手作りではなく、加工工場で製造されるようになっていったという。
製造方法
ほたて漁は6~10月頃に最盛期を迎える。オホーツク海沿岸で水揚げされたほたてのうち、全体の2割程度が干貝柱に加工される。水揚げされたほたてを加工場に運び、まず貝殻の土砂などを洗い落とす。次に、スチームで貝殻ごと蒸し上げたり、釜で貝殻ごと炊いたりして、貝の口を開かせる。加熱したほたてを貝殻と身に分け、身から取り出した貝柱を冷却し、さらに塩水で煮上げる。貝柱を焙乾炉(ばいかんろ)に移し熱風で乾かし、つづいて恒温室に移動させて乾燥させていく。貝柱の身の外側と内側の水分量の差が大きくならないよう、乾燥と寝かせる工程を繰り返しながら、貝柱の水分含有量が16%以下になるまで時間をかけて乾燥させる。干し上がった貝柱を工場の熟練の職人が一つひとつ手作業で確認し、規格にならってサイズ、肉質、香りなどによって選別する。さらに、漁業組合の検査員による厳格な格付け検査が行われ、合格ラインに達した貝柱のみが箱詰めされる。
保護・継承の取り組み
干貝柱の製造工場は、漁場に近いオホーツク海沿岸に集中している。全盛期は28か所あったが、深刻な人手不足などにより現在は20か所程度まで減少しているという。現在は民間や漁業組合が営む干貝柱の製造工場で加工・製造され、全国のスーパーやデパート、道の駅、ネットショップなどで販売されている。
主な食べ方
酒のつまみとしてそのまま食される。また、干貝柱を水に浸し一晩置くことでできる濃厚な出汁はラーメンや炊き込みご飯、スープ、煮物など、さまざまな料理に利用される。柔らかくなった貝柱はそのまま食されるほか、サラダや餃子など和洋関係なくいろいろな料理に使用されている。
アレンジレシピ:干し貝柱入り卵スープ
材料
干し貝柱
6個
小松菜
30g
卵
1個
水
300ml
酒
小さじ1
鶏ガラスープの素
小さじ1/2
塩・粗挽き黒こしょう
各適量
作り方
貝柱はさっと洗い、水(1カップ)にひと晩つけて戻す。戻し汁は取りおく。
小松菜は長さ3㎝に切る。
鍋に貝柱の戻し汁、水、酒、鶏ガラスープの素を入れ、火にかける。煮立ったら小松菜、貝柱を入れ、小松菜がやわらかくなるまで煮る。
溶き卵を加え、塩・粗びき黒こしょうで味をととのえて、器に盛る。