ひょう干し、すべりひゆの乾物(ひょうぼし、すべりひゆのかんぶつ)
山形県ひょう干し、すべりひゆの乾物(ひょうぼし、すべりひゆのかんぶつ)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
ひょう(すべりひゆ)
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主な伝承地域
村山地域、置賜地域
食品概要(特徴・種類)
ひょうとは、夏の畑地や路傍に生える野草・すべりひゆのこと。赤紫色を帯びた茎が特徴的で、秋前に小さな黄色い花を咲かせる。他県では雑草として駆除されることもあるひょうを、山形、とくに置賜地域や村山地域では花が咲く前に摘み、食用としてきた。採れたては茹で、からし醤油やにんにく醤油などで和え物にして食べられるが、乾燥させて保存食にし、雪に覆われて野菜が不足する冬場の食料として長く重宝されてきた。茹でて天日干しにしたその乾物を、ひょう干しという。
また、ひょう干しは、「ひょう干しの煮物」に調理され、正月によく食べられる。その名前の響きから、「ひょっとしたらよいことがある」と願いを込めて新春の膳にのぼる、今も山形の正月になくてはならない縁起のよい行事食だ。
夏の土用を過ぎ、つぼみがつき始めると硬くなって酸味が増すため、乾物にする際にも採取は7月中頃までに行う。土用の午前中までに摘むのがよいとされる。
歴史・文化、関連行事
山形では昔から、豪雪に埋まる冬に備え、あるいは食べきれなかった分を乾物に加工してきた。春はアブラナ科の野菜・くきたち、ぜんまい、かたくり。夏にはたくさんの実を結ぶ茄子、秋から冬にかけては打ち豆になる青大豆やあけび、大根が収穫され、乾物に加工される。とくに大根は凍み大根となり、うどとともに「どんころ煮」に調理されて食卓を飾るなど、馴染み深い。
乾物加工は手間がかかるが最も安価で保存性も高く、生とはまた異なるうま味を生むため、雪国の山形では干す食文化が連綿と受け継がれてきた。
なお、ひょうは、抗酸化物質のグルタチオンやオメガ3脂肪酸を含むことがわかっている。トルコやギリシャ、イタリアでは紀元前から食用とされ、「プルピエ」 の名でフランス料理の伝統的な食材としても知られている。
製造方法
夏の畑地で摘んだひょうを、さっと茹でてからすだれなどに広げて天日に干し、乾燥させる。
土用を過ぎ、つぼみが出始めると硬くなるので採取は7月中頃までに行う。とくに土用の午前中に摘んだひょうが一番よいとされる。
保護・継承の取り組み
ひょう干しは県内の直売所やスーパーで手に入り、惣菜売り場には調理済みの「ひょう干しの煮物」が並ぶ。インターネットでも、ひょう干しだけでなく、煮物が真空パックに詰められて販売されている。
主な食べ方
「ひょう干しの煮物」にして食べられている。正月にはとくに、「今年はひょっとしてよいことがあるかも?」という願いをこめた縁起のよい行事食として、無病息災・家内安全を祈りつつ食べられる。