伊勢茶(いせちゃ)
三重県伊勢茶(いせちゃ)
分類(大)
その他
分類(小)
飲料
主な使用食材
茶葉
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
伊勢茶は、三重県で生産される茶の総称である。三重県は、恵まれた自然と地形、気候条件から茶の栽培に適しており、今日では茶の栽培面積、生産量ともに、静岡県、鹿児島県に次いで全国第3位の茶所として知られる(令和4年度時点)。
県内の地域によって生産される茶の種類に特徴があり、鈴鹿山脈の麓に広がる北勢地域(四日市市、鈴鹿市、亀山市、いなべ市)では、美しい緑色とまろやかな飲み口の「かぶせ茶」、中南勢地域(松阪市、度会町、大台町、津市、多気町)では豊かな香りと深い渋みの「深蒸し煎茶」が主流となっている。特に高級茶の一種である「かぶせ茶」の生産量は全国1位であり、伊勢茶の品質を特徴づけている。
歴史・文化、関連行事
伊勢茶の歴史は古く、初めて茶の栽培が始まったのは記録によれば、四日市市水沢町の飯盛山浄林寺住職が平安時代(延喜年間)自寺の茶樹から製茶し、村人に喫茶を勧めたとある。ただ今日のように隆盛になるきっかけは江戸時代初期に菰野藩が茶業を奨励したことによるとされている。また三重県のもう1つの茶の産地は鎌倉時代前期に京都高山寺の明恵上人が栄西禅師からもらい受けた茶の実を伊勢川上に分植したとの記録により、櫛田川・宮川の中上流域に広がっている。いずれにしても江戸時代には、伊勢国は茶の一大産地となり、伊勢商人を通じて伊勢茶は江戸や東北地方にまで広く流通していた。伊勢商人が販売した茶は主に南勢地方の茶が中心であったと考えられており、一方で北勢地域の茶は、近江商人を通じて京都で「宇治茶」として販売されていた。
明治・大正期には、アメリカ向けの輸出品として生産量を伸ばしていたが、戦争などの影響で輸出が減少したことや、食糧不足により茶畑が他の農産物の栽培に転用された結果、茶の生産は衰退した。2000 年代における食品表示の厳格化の流れを契機に、伊勢茶ブランドの再興への機運が高まった。2006 年に地域ブランド保護に関する商法改正が行われると、三重県茶業会議所ではあらためて伊勢茶の定義を定め、地域ブランドとして認定登録した。
近年では、伊勢茶の生産者が直営販売店やカフェを運営するなど、伊勢茶の販売や飲食ができる店も増えている。茶畑を望む自然豊かな場所で、手作りのスイーツとともに伊勢茶が楽しめる店舗には、県外からも観光客が訪れるなど、伊勢茶の楽しみ方も広がりつつある。
なお、伊勢茶を語るときに欠かせないのが、松阪市飯高町生まれの大谷嘉兵衛(1845~1933年)である。日本茶業中央会議所を設立し、茶の品質向上と、伊勢茶の振興に貢献し「茶聖」と呼ばれた。
製造方法
北勢地域で主に加工されている「かぶせ茶」は三重県独自の定義に基づいて、収穫前に1~2週間程度、直射日光を遮って栽培される。この覆い期間がさらに長く20日前後のものは玉露(ぎょくろ)や碾茶(てんちゃ)と呼ばれる。覆いをすることで、茶葉のアミノ酸(テアニン)が増加し、また緑色が濃くなり、「覆い香」と呼ばれる独特の香りが熟成される。
中南勢地域で主に加工されている「深蒸し煎茶」は、通常の煎茶より長時間(約2倍)蒸すことで、苦渋味が少なく旨味、甘味があり濃厚な味わいを持つ茶となる。
保護・継承の取り組み
伊勢茶の啓発宣伝を目的とした団体「伊勢茶推進協議会」は、ウェブサイト等を通じて伊勢茶の製造方法や飲み方の紹介に加え、飲んだ後の茶殻を活用したレシピを紹介するなど、伊勢茶の普及啓発を行っている。
三重県農林水産部では、伊勢茶を様々なシーンで気軽に楽しんでもらうことを目的としたキャンペーンや商品開発を行い、新たな需要創出に繋がる施策を行っている。
主な食べ方
お湯や水出しで飲むのが一般的だが、茶を出した後の茶殻を生地やスイーツなどに練り込んだレシピが考案されている。丸ごと食すことで、茶葉に含まれる栄養素を余すことなく食することができる。
アレンジレシピ:伊勢茶の茶めし
材料
緑茶
小さじ1
米
2合
A 酒:大さじ2 みりん:大さじ2 塩:小さじ1/2
水
適量
万能ねぎ (小口切り)
適量
作り方
米は洗って水気を切っておく。
炊飯釜に①の米、A、伊勢茶を入れて2合の目盛りになるまで水を加えて炊飯する。
器に盛り、万能ねぎをのせる。