飯寿司(いずし)
発酵食品
北海道飯寿司(いずし)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
ニシン、ほっけ、さけ、米、キャベツ、にんじん、だいこん、しょうが、麹
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主な伝承地域
道内全域
食品概要(特徴・種類)
飯寿司は、魚と野菜を米麹に漬け、乳酸発酵させたなれずしの一種である。魚と塩と米でできた漬物ともいえる、北海道各地の浜に伝わった冬場の保存食。飯寿司には、ほっけやさけ、はたはた、ニシン、さんまなど北海道でとれる様々な魚が用いられ、家庭の数だけ飯寿司があると言われるほど、種類豊富につくられていた。飯寿司は使用する魚によって脂のコクが変わる。また熱を加える処理をしないため、素材本来の優しい味わいが残る。他のなれ寿司に比べると、低温で発酵させる期間が短いため、匂いは穏やかであるという。食事としても酒の肴としても親しまれている郷土料理である。
歴史・文化、関連行事
飯寿司のルーツは東南アジアの稲作地帯にあるとされる。紀元前、タイやベトナム、カンボジアといった地域では、川魚を米で発酵させ保存食として食していた。その文化が中国大陸、朝鮮半島、やがて日本へ伝わり、のちに一般的な「お寿司」と「なれ寿司」の二つに分かれたとされる。一般的ななれ寿司は米のデンプンで発酵を進めるが、石川県の「かぶら寿司」や秋田県の「はたはた寿司」と同様に、北海道でも麹を使って発酵させる飯寿司が室町時代につくられた。その後、北海道沖で獲れるさまざまな魚で作られるようになり、冬の食卓に並ぶ郷土食となった。
製造方法
水につけて塩抜きした魚の切り身を、酢に1時間ほど漬ける。漬けた魚の切り身、かために炊いて冷ました米、野菜類、麹を混ぜて樽に入れる。重石をのせて18~20日間ほど寝かせ、発酵熟成させて完成となる。魚の塩抜きには注意が必要とされ、塩を抜きすぎると味がなくなり保存期間が短くなってしまうが、塩が残りすぎても塩辛くなってしまうため、塩の抜き加減が飯寿司のおいしさを左右するという。
保護・継承の取り組み
昔はどの家庭でも飯寿司をつくっていたが、手間と時間がかかることから、今では家庭で漬け込むことが減少しつつあり、スーパーマーケットでの入手が可能になっている。また、飯寿司の食文化継承のために各地で団体が発足する動きがみられ、道内の企業も飯寿司のつくり方や食文化を伝える活動を行っている。
主な食べ方
北海道では冬の貴重なタンパク質源で、主に保存食にして食されていた。晩秋から初冬に漬け込んだ飯寿司は、正月ごろに食べることが多かった。また、家族や親せきが集まるハレの日に食卓に並ぶことも多い。特別な日だけでなく、わさび醤油や唐辛子をつけたり、表面を少し焦がしたりと日々の食卓でもアレンジを楽しみながら食されている。