地がらし(じがらし)
福井県地がらし(じがらし)
分類(大)
農産
分類(小)
醤油、味噌、その他調味料
主な使用食材
からし種
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
福井市、嶺北
食品概要(特徴・種類)
福井の地がらしは、からし種の油分を取り除くことなく、まるごと粉末にする独自の製法によりつくられるからしである。見た目にはからし粉に茶色と黄色の粒が混在しているのが特徴で、味は通常の和からしよりも甘みやコク、香りと辛みが強く、また、ほのかな苦みもあり独特の風味を持っている。
歴史・文化、関連行事
和からし自体は歴史が古く、平安時代の法典である「延喜式」にも「芥子」の記述がある。奈良時代から朝廷や貴族の間で香辛料として使われたものの、鎌倉時代まではからし菜の葉をそのまま薬味として使っただけで、種子は使われていなかった。室町時代中期1489年に記された料理書「四条流庖丁書」で初めて実芥子についての記述がみられる。
福井県の「地がらし」は、1850年頃(嘉永年間)創業の老舗店が、地がらしの取り扱いを始めた明治時代から、変わらぬ製法を守っている 。
福井県は昔から仏教、特に浄土真宗の信仰に熱心で、開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)の前後、秋から新年にかけて行われる浄土真宗各派の年中最大行事である報恩講(福井県では「ほんこさん」や「おこ(う)さま」と呼ぶ)を各地で行う。この行事で振る舞われる定番の精進料理の一つである「麩(ふ)のからし和え」にも地がらしは欠かせない。
製造方法
からし種には油分が40%もあり、そのまますりつぶすとペースト状になってしまうため、通常は殻を取って実を粉砕し油分を取り除いてから製粉する。それに対し福井の地がらしは、からし種の殻は取らず脱脂しないでそのまま丸ごと粗びきするのが特徴である。
地がらし粉を使う時には、すり鉢に地がらし粉を入れて85℃~100℃の熱湯を注ぎ、すりこぎ棒で体重をかけ素早くよく練る。香りが出てきたら、すり鉢ごと逆さにして1~3時間程度寝かせると完成。また、昔ながらの方法では、練った地がらしの上に和紙をぴったりとかぶせて熱湯を注ぎ、その中に火を入れた炭火を置いて1時間程寝かせてあく抜きをする。あくを抜くことで、雑味が減り、辛みとコクが増すという。
保護・継承の取り組み
からし種は生産者の減少により外国産を使用することが多くなったが、製粉は今も伝統的な製法により行われている。また、老舗製造会社では地がらしを用いたさまざまなレシピや商品を開発し、より身近なものとして消費者に届ける努力を続けている。
主な食べ方
足羽山の花見茶屋の名物である「豆腐田楽」や「こんにゃくおでん」の味噌に、また郷土料理である「麩のからし和え」、「たこの酢味噌あえ」などに欠かせないものとして使用される。
アレンジレシピ:チーズ入り麩の辛子和え(5人分)
材料
きゅうり
1本
塩
少々
角麩
5個
酢
小さじ2
田舎味噌
小さじ2
白味噌
小さじ2
砂糖
大さじ1と2/3
和辛子(又は練り辛子)
小さじ1
モッツァレラチーズ(フレッシュ)
30g
作り方
きゅうりは小口切りにし、塩で軽くもみ水気を絞る。
角麩は水につけて戻し、固く絞って8個に切る。
すり鉢で味噌をすり、酢、砂糖を溶いて、辛味を出した和辛子 を加え、酢味噌を作る。
3のすり鉢できゅうりと麩を和える。
モッツァレラチーズをせん切りにして加える。
提供元:「ほっとするね ふるさとの味」(福井県)
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/016250/furusatonoaji_d/fil/004.pdf