かぶらずし、大根ずし(かぶらずし、だいこんずし)
発酵食品
石川県かぶらずし、大根ずし(かぶらずし、だいこんずし)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
かぶら(かぶ)、ぶり
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
塩漬けしたかぶらの間にぶりを挟み、米糀で作った甘酒で漬け込み発酵させた「なれずし」の一種。米糀を使用していることで、一般的ななれずしよりも甘味があり、優しく豊かな味わいと香りがあるのが特徴。日が経つにつれ発酵が進み、酸味が増して味が変化するので、お好みの段階で食べた方がよいとされている。風味や口あたりはかぶらの種類や熟成加減、塩の加減などによって異なる。気温に左右されやすいため経験と技術が求められる。かぶら寿しは贈答品として多く用いられるが、一般家庭ではニシンとだいこんで手軽に作れる「大根ずし」が浸透している。
歴史・文化、関連行事
発祥については諸説あるが、おそらく江戸時代からと言われている。当時ぶりは「ぶり一本米一俵」と言われるほど高級品であり、ぶりが藩主へ献上され、続いて藩士の武士が食べていた。そのため、ぶりを食べたい庶民がかぶらに挟んで隠して食べていたという説もある。ほかにも、漁師が豊漁と安全を祈る正月の儀式に食べはじめた説や、加賀藩主の前田氏が湯治に訪れた際に地元の温泉宿で振る舞われたという説がある。江戸時代には加賀藩の武家や庶民に親しまれ、年末年始の贈答や挨拶に使用されるなど、人をもてなすメニューの一つとされてきた。その後、魚屋や八百屋が得意先への挨拶に、手作りのかぶら寿しを年末の手土産にしたことで広く知れ渡った。
製造方法
ようかん形にサク取りしたぶりの表面が白くなるくらい塩を振り、重石をして40日程度おく。かぶらに切り目を入れて樽底に塩を振りかぶらを並べ、これをくり返し重石をして約1週間塩漬けにする。糀にご飯、熱湯を合わせて混ぜ、保温状態で一晩おく。かぶらの水気をとり、ぶりは水洗いし、かぶらに合わせてそぎ切りにする。かぶらの間にぶりを挟み、糀をのせ、にんじん、赤唐辛子、柚子皮を散らす。これをくり返し、一番上に塩抜きしたかぶらの葉をのせ、落としぶたをして重石をする。通常7~10日程度で漬けあがる。
保護・継承の取り組み
石川県では「これが無いと正月が来ない」と言われるほど。元々、各家庭でも作られていたが、手間がかかることから手作りする人は少なくなっている。そのため、正月が近づくと地元の店舗やスーパーマーケット、デパートなどで販売される。また、クッキングスクールや体験教室でかぶら寿しを作ることもある。
主な食べ方
何もつけずにそのまま食べるのが一般的。酒の肴にもご飯のおかずにもよく合う。12月上旬~2月下旬が旬であり、この時期になると居酒屋のメニューになることも。お祝い事や正月に食べることが多く、冬の石川県では欠くことのできない名物になっている。
アレンジレシピ:かぶら寿し(20~25切れ分)
材料
ぶり
1~1.5kg、塩、重石
かぶら、大根(特大)
10~13個、塩(かぶらの2.5%位)、にんじん 1/2本、柚子皮 適量、赤唐辛子 1~2本、重石
米
2カップ、糀 1枚、熱湯 2カップ
作り方
ぶりはようかん形にサク取りし、容器に入れてぶりが見えなくなるくらいの強塩をし、重石をして40日くらいおく。
かぶらの天地を切り落とし2枚の輪切りにし、切り離さないで切り目を入れ、樽底に塩を振りかぶらを並べ、また塩を振りかぶらをくり返し並べる。重石をして1週間くらい塩漬けする。
糀にご飯、熱湯を合わせて混ぜ、簡単な保湿(50度前後)をして一晩おく。
かぶらは十分に水気をきり、ふき取っておく。人参は花形または千切りにし、赤唐辛子は種を除き小口切り、柚子は千切りにしておく。ぶりは水洗いし、かぶらに合わせてそぎ切りにする。かぶらの間にぶりを挟み、大さじ山盛り2杯の糀をのせ、隙間のないように並べ、にんじん、赤唐辛子、柚子皮を散らす。これをくり返し一番上に塩抜きしたかぶらの葉をのせ、落しぶたをして重石をする。(7~10日程度で漬けあがる)
提供元:青木悦子の新じわもん王國 金澤料理(著:青木悦子氏)