甲斐サーモン、富士の介の加工品(かいさーもん、ふじのすけのかこうひん)
山梨県甲斐サーモン、富士の介の加工品(かいさーもん、ふじのすけのかこうひん)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
甲斐サーモン、富士の介
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主な伝承地域
山梨県全域
食品概要(特徴・種類)
豊富な水資源を活かし、山梨県ではニジマス、ヤマメ、イワナ、アユ等、淡水魚の養殖が盛んに行われている。生産量の約7割を占めるのはニジマスだが、そのニジマスを、1kgを超える大型に育てた「甲斐サーモン」と、サケマス類で最高級とされるキングサーモンと交配させたオリジナル魚「富士の介」は、山梨の誇る二大ブランド魚。特にキングサーモンの血を引く魚は日本唯一とあって、きめ細かな身質とほどよくのった上品な脂、豊かなうま味が特徴の富士の介は2019(令和元)年の初出荷以来、飲食店等で多く使用されている。科学的検証も行われ、富士の介のうま味成分(遊離アミノ酸)はニジマスの1.6倍とのデータも出ている。
甲斐サーモンも富士の介も、食材の一つとして使用されるほか、スモークサーモンや、味噌だれ・醤油だれに漬けこんだ保存食に加工されるなど、幅広く活用されており、なかにはフレッシュハーブやオリーブオイルで漬けこむカルパッチョ風に仕立てた加工品も登場している。
なお、甲斐サーモンは山梨らしく、特産のワインの醸造時に出るぶどうの果皮の粉末を餌に加えて育てたものが新たに開発され、「甲斐サーモンレッド」の名で流通している。
歴史・文化、関連行事
川や湖などの淡水域豊かな山梨県だが、山梨の人々はマグロなどの海水魚を好む傾向にあった。県産品である淡水魚の需要につなげるため2011(平成23)年、まずは大型のニジマスを甲斐サーモンと名付けてブランド化。さらに、山梨らしくぶどう果皮粉末を加えた餌を与えることで食味等を向上させた甲斐サーモンレッドを新たに開発し、2016(平成28)年より出荷している。
また、人気の高いキングサーモン(父)に、育てやすく味もよいニジマス(母)を交配させるという、国内でも例を見ない難事業に2007(平成19)年より本格的に取り掛かり、2016(平成28)年の末、水産庁から養殖の承認を受けるに至った。それが、公募によりキングサーモンの和名〝マスノスケ〟にちなんで名づけられた、「富士の介」である。県内の養殖業者に受精卵が提供され、養殖状況も公開されて、県内での増産を促進。2019(令和元)年の初出荷以降も広がりを見せている。
ちなみにニジマスは、1877(明治10)年にアメリカ・カリフォルニア州から移入され、1926(大正15)年に公布された水産増殖奨励規則が契機となって、全国での養殖が続々立ち上がり、山梨では1931(昭和6)年、ニジマスの飼育を目的とした山梨県営忍野孵化場が開設されたことで、その養殖がスタートした。
海を回遊しない養殖魚の甲斐サーモンや富士の介は寄生虫の心配がなく、しかもその美味しさが認められて高級レストランなどで使われるほか、さまざまな加工品が開発されている。
製造方法
甲斐サーモン・富士の介の冷燻:
骨抜きと皮引きをした甲斐サーモン・富士の介をソミュール液(しょう油、砂糖、食塩、削り節など)にじっくり浸け込んで味を入れ、30℃以下の低温を保ちながら、長期間燻製にかけてつくる(冷燻)。
火を入れていないため、ねっとりとした食感とスモーキーな風味が楽しめるうえ、長時間かけて水分を抜くことにより長期保存も可能となる。
保護・継承の取り組み
山梨県養殖漁業協同組合、山梨県、山梨学院大学、山梨学院短期大学の産官学の連携により、甲斐サーモンなどの淡水魚を使用した料理コンテストを開催。学生による柔軟な発想と創意工夫により新たな料理が生まれ、それらのレシピのなかには山梨県の公式サイトなどで公開されているものもある。
また、スモークサーモンやづけ魚、老舗料亭による炊き込みご飯の素などの加工品の多くはインターネットでも購入ができる。
主な食べ方
切り身の真空パック等の場合はそのまま刺身で食すほか、オリーブオイルを使い、強火でサッと火を入れ、生姜、にんにく、玉葱、ペパーミントなどをミキサーでペースト状にしたソースをかけ、洋風に調理して食べられることもある。