梶賀のあぶり(かじかのあぶり)
三重県梶賀のあぶり(かじかのあぶり)
分類(大)
水産
分類(小)
くん製品
主な使用食材
小さば、小がつお、小あじなど、塩
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
尾鷲市梶賀町
食品概要(特徴・種類)
三重県尾鷲市の南部に位置する小さな梶賀漁港周辺に発達した漁師町・梶賀町に、100年以上も前から伝わる郷土料理。とれたての小魚を、薪を燃やした煙でいぶして作る。
冷蔵庫のない時代に、鮮度が落ちやすい小魚をおいしく食べようと生み出された、漁港ならではの保存食である。一般的な燻製製品のようにチップで香り付けするのではなく、桜や樫の生木を焚きつけ、その煙でいぶすという特徴がある。
長時間かけていぶし焼くことで余分な脂が落ち、香ばしさと、塩だけのシンプルな味付けが素材の旨みを引き立てる。
原材料となる魚類の稚魚が獲れる4~7月ごろにかけて、町内で梶賀のあぶりづくりが最盛期を迎える。
歴史・文化、関連行事
梶賀町周辺では、少なくとも江戸時代のはじめには漁業が営まれていたと考えられている。梶賀のあぶりの正確な発祥時期は不明だが、住民の話によると明治初期には食されていたようだ。
さばの幼魚など、10cmに満たないような小魚は、水揚げされても鮮度落ちが早く、また小さいために商品価値が無く市場に出すことができない。梶賀のあぶりは、浜に打ち捨てられた小魚を漁師が家庭のおかずとするために燻製にしたことがはじまり。4~7月頃までの季節限定の食べ物であったのが、釣り人や町外からの訪問者によりおいしさが伝わり、また、数ある尾鷲市の漁港の中で梶賀漁港でのみ作られていたことからその名で親しまれるようになった。
元々は各家庭で楽しまれるものであったが、近年は尾鷲地域の特産品として販売もされている。
製造方法
新鮮な小魚の頭・内臓を取り除いて水洗いした後、塩を振り、1時間ほどおく(おく時間は、魚の大きさなどによって変わる)。1本当たり長さ33㎝あまり、幅8㎜程度の竹串に10~20匹の魚を刺し、桜や樫の薪でおこした火の上に、何十本と並べ、遠火で1~2時間ほどかけ、途中で裏返したり位置を変えたりしながら、きつね色になるまでじっくりと焼きあげる。仕上がった串は1本1本が芸術品と見紛うほど見事である。完成後は、常温で3~4日程度はもつ。
定番は小さば、小がつお、小あじなどだが、近年は周年提供できるように時期や漁獲状況によって、ぶりやかつおなどさまざまな魚が用いられる。地元の定置網で獲れた魚や、近隣漁港の旬の魚、市内で養殖されたぶりなどが使われている。
保護・継承の取り組み
当初は家庭の味として地元でのみ楽しまれていたが、近年は地元の人々が中心となり、尾鷲地域の特産品として加工・販売が行われている。東紀州地域をメインに、三重県各地の観光施設や土産物店で入手できるほか、真空パックにしたものがオンライン販売もされている。しかも串から外して少量の食べきりサイズに真空パックすることも行われ、無駄が無いようになった。
令和4年度、地域で世代を超えて継承されてきた食文化として文化庁が認定する「100年フード」における「伝統の100年フード」部門に認定された。
主な食べ方
酒のつまみや、ご飯のおかず、子どものおやつなど、日常の様々な場面で食される。シンプルな味付けのため、お茶漬けやサラダなど、好みに合わせてさまざまにアレンジして楽しめる。