
からし蓮根(からしれんこん)

熊本県からし蓮根(からしれんこん)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
れんこん、味噌、粉からし、小麦粉、油
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画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域:
八代市、熊本市を中心に県内全域
食品概要(特徴・種類)
下ゆでしたれんこんの穴に、粉からしと味噌を混ぜたものを入れ、うこんなどで黄色をつけた水溶き小麦粉で衣をつけ、油で揚げた料理。ツンとしたからしの香りと、シャキシャキとしたれんこんの食感が特徴。輪切りにしてそのまま食べるのが一般的。季節を問わず、普段の食事や酒のつまみとして食されるが、特に正月のおせちやお盆などのハレの日の行事食として、また、秋祭りや天神祭などによくつくられる。
歴史・文化、関連行事
からし蓮根は、寛永九年(1632年)熊本藩の藩主であった肥後細川家初代藩主細川忠利が病弱で、それを心配した羅漢寺の玄宅和尚が考えたと言われている。和漢の書でれんこんに増血作用があることを知った玄宅和尚は、加藤清正が熊本城の外堀に非常食用として植えていた蓮を細川忠利に食べさせようとした。しかし、細川忠利が「れんこんは泥の中で育った不浄のもの」として箸をつけようとしないため、味噌と和からしを混ぜ合わせたものをれんこんの穴に詰め、小麦粉、空豆粉、卵の黄身の衣をつけて油で揚げたところ、気に入って常食されるようになった。その効果か、病弱だった細川忠利は食欲も増し、みるみる剛健になったと伝えられている。また、輪切りにしたれんこんの切り口が細川家の家紋、九曜(くよう)の紋に似ていることもあり、からし蓮根の製造方法は熊本藩門外不出の料理として受け継がれてきた。
明治維新以降、門外不出の貴重な料理を庶民の間でも食べることが許可され、人気を博すこととなった。以来今日まで熊本の郷土料理として広く親しまれるようになった。
その由来から、からし蓮根は滋養強壮によい健康食というイメージが根付いている。れんこんに穴があいているため「先が見通せる」縁起物とされ、正月に食されることも多い。
製造方法
きれいに洗って下ゆでしたれんこんの穴に、味噌と粉からしを混ぜたものを詰める。その時、中身を乗せた皿にれんこんを立てて回すように入れる。その後、うこんもしくはくちなしなどで黄色をつけた水溶き小麦粉で衣をつけ、丸ごと油で揚げる。衣に卵黄を入れる場合もある。
保護・継承の取り組み
江戸時代の書物の中には、からし蓮根の製造方法が記されているものもあるが、この製造方法は現在でもほとんど変わっていない。熊本市のウェブサイトなどには家庭でつくることのできるからし蓮根のレシピも掲載されている。
現在では、熊本県内にある専門店だけでなく全国各地でからし蓮根が販売されている。また、からし蓮根専門店のなかには全国で実演販売を行っている店や、製造体験が出来る店など普及活動をしている店もある。また、熊本の郷土料理店はもちろん、地元の飲食店でも提供されることが多い。熊本日日新聞・西日本新聞・南日本新聞の合同アンケート(2022年3月)によると、「熊本のお土産と言えば何か」というアンケートでは「からし蓮根」はベスト3に入るほど、熊本の郷土料理として人気があり、お土産としてもなくてはならないものである。
主な食べ方
輪切りに切ってそのまま食べる。醤油やマヨネーズをつけて食べることも。専門店ではからし蓮根を活用したコロッケなどの商品も販売している。