堅豆腐(かたどうふ)
石川県堅豆腐(かたどうふ)
分類(大)
農産
分類(小)
豆類加工品
主な使用食材
にがり、大豆、塩、水
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主な伝承地域
石川県、富山県、福井県の白山麓一帯
食品概要(特徴・種類)
堅豆腐は石豆腐、縄搾り豆腐、生搾り豆腐とも呼ばれ、重石を乗せて水分を抜いて作る堅い豆腐のことである。一般の豆腐よりも使用する大豆の量が多く、豆腐本来の濃厚な風味と食感が特徴。その堅さは、子どもが堅豆腐の角に頭を打ちケガをしたという逸話が生まれるほどである。雪深い地域では貴重なタンパク源として重宝され、縄で縛っても型崩れしにくく、山道でも持ち運びが容易だという。日常的にいろいろな料理に用いられるだけでなく、報恩講や法事などの行事でご馳走としても食されている。石川県では白山市で製造されているが、白峰地域と桑島地域では製法や箱型の寸法に違いがみられる。保存性があり、夏季は2~3日程度、冬季は7日程度日持ちするという。
歴史・文化、関連行事
1592~1598年の文禄・慶長の役で捕虜として渡来した永天斉という者が、寛永3(1626)年に金沢で七右衛門と名乗り豆腐の製造を始めた。この豆腐の製造方法は朝鮮半島から伝わったもので、白山の堅豆腐はその作り方を継承したとされている。古くから白山麓一帯は豪雪地帯だったため自給自足の食生活をしていた。貴重な植物性タンパク源として栽培していた大豆を用いて各家庭で堅豆腐が作られるようになり、現代もなお食べ継がれている。
製造方法
石川県では、手取川上流の白山郷の峡谷地で堅豆腐が作られているが、白峰地域と桑島地域では一部製法が異なっている。大豆を水で洗った後、夏季は6~9時間程度、冬季は一昼夜程度水に漬ける。水を切った後、水を加えながら大豆を細かく砕き、すり潰していく。この大豆と水が混ざったドロドロの状態のものを「呉」と呼ぶ。次の工程から白峰地域と桑島地域では製法が若干異なる。白峰地域では、釜で30分程度呉を煮た後、木綿袋に入れ、豆乳圧搾機にかけて豆乳とおからに分ける。豆乳を別の釜に移し65~70℃に温め、木杓でかき混ぜながらすまし粉(硫酸マグネシウム)を加える。すまし粉とは、いわゆるにがりのことである。豆乳全体が個体と液体に分離しないよう木杓でかき混ぜ、ゼリー状になったら20分程度放置する。程よく固まった豆乳をアルミ製の型箱に入れ、重石またはテコ式加重器で圧搾し水を抜いていく。型箱から豆腐を取り出し、冷水に漬けて冷却した後水に晒す。
一方、桑島地域では桶の上にナラの木棒6本をすのこ状に並べ、その上に呉を入れた木綿袋をのせて手で押さえながら絞り生豆乳を作る。この生豆乳を釜に移し弱火で30分程度かき混ぜながら煮る。豆乳を釜に移し65~70℃に温め、木杓でかき混ぜながらにがり(塩化カルシウム、塩化マグネシウム)を加える。豆乳全体が個体と液体に分離しないよう木杓でかき混ぜ、ゼリー状になったら20分程度放置する。程よく固まった豆乳をステンレス製の型箱に入れ、重石またはテコ式加重器で圧搾し、水を抜いていく。型箱から豆腐を取り出し自然放冷する。自然放冷することで、豆腐の表面が乾燥して豆腐の内部が膜に包まれた状態となるため、白峰地域で作られた堅豆腐よりも豆乳の濃度が若干濃いと言われている。
保護・継承の取り組み
白山の豆腐屋にて現在も昔ながらの製法で作られ、地元の豆腐屋やスーパーなどで販売されている。
主な食べ方
日常の食生活に溶け込んでおり、味噌汁、鍋物、揚げ物、茶碗蒸し、煮物、天ぷら、バター焼き、刺身、いり豆腐、田楽豆腐、精進料理など調理方法は多岐にわたる。
桑島地域では、年末年始に豆乳をにがりでゼリー状にしたものをお椀にくみ取り、「くずし」を作って食する風習が現在でも残っている。くずし、なめこ、ごぼうを醤油または味噌を用いて汁物とする料理は桑島地域特有のものである。