鯉のうま煮(こいのうまに)
山形県鯉のうま煮(こいのうまに)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
コイ、醤油、みりん、砂糖
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主な伝承地域
置賜地域(米沢市ほか)
食品概要(特徴・種類)
鯉のうま煮は、輪切りの鯉を砂糖や醤油、酒等でこっくりと煮た、山形県南端の置賜地域に伝わる郷土料理。主に正月やお盆、結婚式などに食べられてきたハレの日の一品だ。米沢市を擁する置賜地域は、山々に囲まれる内陸の地。鯉はそんな内陸農村部の、とくに冬場の重要なタンパク源となってきた。
最上川上流の清く豊富な水で養殖される置賜の鯉は、一般的にいわれる泥臭さがなく、「米沢鯉」のブランド名で米沢牛、館山りんごと並ぶ地域の名産品となっており、水温が低くなる冬の時期は身が締まってとくに美味。毎年11月には養殖池の水を抜いて丸々と太った鯉を水揚げする〝鯉揚げ〟が行われ、年末年始のご馳走や贈答用に使われる。
歴史・文化、関連行事
米沢鯉の歴史は古く、江戸時代の1802(享和2)年にまでさかのぼる。当時、むくみや乳不足に悩む領民がタンパク質を補うため、わざわざ他藩から鯉を買い、利用していることを知った米沢藩九代目藩主・上杉治憲(鷹山公)は、養鯉の先進地であった現在の福島・相馬に伝授を請うため用人を向かわせた。持ち帰った稚鯉を米沢城のお濠で育てたことが、米沢での鯉の養殖の始まりとされる。各家々にも排水口近くに鯉を育てる池〝せせな〟をつくることを推奨し、特別な餌は用いず、排水として流れてくる米のとぎ汁や残飯、養蚕が盛んだったことから蚕のさなぎである〝まゆみ〟などで育てさせたという。こうして鯉の養殖は置賜地域周辺で盛んになり、大正から昭和にかけて発達した。
製造方法
鍋に鯉を入れてひたひたになるまで酒を注ぎ、鯉より1~2cmほど上にかぶるまで水を加える。砂糖やみりん、醤油を入れ、落としぶたをして沸騰させる。沸騰後、アクを丁寧に取って、弱火で煮詰める。水気がなくなり、身の表面に照りが出てきたら出来上がり。
ポイントは、鯉が新鮮なうちに調理することと、苦くて食べられなくなるので、鯉をさばくときに肝をつぶさないように取り除くこと。鯉はエラと苦肝(胆のう)を除く、すべての部分が食べられる。また、硬くなってしまうので煮詰めすぎにも注意が必要だ。
保護・継承の取り組み
家庭でつくられることは減ったものの、スーパーの惣菜売り場などにも鯉のうま煮は並ぶようになった。また、鯉料理の店や料亭などから真空パックに詰めた加工品が販売され、インターネットでも気軽に購入できる。
主な食べ方
ご飯のお供に、酒肴にと、そのまま食べられている。今もハレの日の一品として出されるが、加工品を気軽に入手できるようになり、来客の際など、日常に食べられることもある。