こじょうゆ味噌(こじょうゆみそ)
発酵食品
島根県こじょうゆ味噌(こじょうゆみそ)
分類(大)
農産
分類(小)
醤油、味噌、その他調味料
主な使用食材
小麦、大豆、米、糀
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
隠岐島地方(海士町、西ノ島町)
食品概要(特徴・種類)
島根半島の北方、40~80kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島。4つの主島と約180の小島からなる諸島で、その中のひとつ、中ノ島の海士町で代々受け継がれてきたのがこじょうゆ味噌である。諸島全体でも人口2万人の小さな島々で、四方を海に囲まれた環境やかつて流刑の島だった影響もあり、出雲地方とも石見地方とも異なる独自な文化が育まれてきた。その一つがこじょうゆ味噌である。小麦、大豆、米、塩といった醤油とほぼ同じ材料を使用し、通常ならすり潰してしまう大豆や小麦の食感をそのまま残した、醤油と味噌の中間のような発酵食品である。その昔、島内に醤油蔵がなく、本土からの輸送が難しかった時代は、醤油代わりに何にでも使用された隠岐島ならではの伝統的な調味料である。今も、独特の食感、旨味と甘み、豊潤な香りを備えた万能調味料として広く親しまれている。
歴史・文化、関連行事
島内に醤油蔵もなく、本土との交流も限られる中、こじょうゆ味噌は家庭の味として受け継がれてきた。隠岐島で醤油が広く使われるようになったのは明治時代以降と言われており、島内で大量生産されるようになってからも各家庭ではこじょうゆ味噌が作られている。それほど隠岐諸島では古くから親しまれる食材で、晩年の19年間を海士町で過ごした後鳥羽上皇もこじょうゆ味噌を愛食していたと言われている。
製造方法
昔はこじょうゆ味噌に使用する糀、こじょうゆ糀(ばな)も各家庭で手作りしていた。糀の発酵しやすい8~9月初めに前年の種麹と小麦や米、大豆を混ぜ合わせて発酵させたこじょうゆ糀に塩、みりん、砂糖などを加えて約二か月ほど毎日混ぜ合わせることでこじょうゆ味噌は完成する。入れる調味料や配合は決まっておらず、各家庭で作られたものが唯一無二の我が家の味となる。また、発酵の度合いによって味が変化するのも大きな魅力と言える。
保護・継承の取り組み
醤油や味噌など調味料の製造技術が進歩した今でも海士町ではそれぞれの家でこじょうゆ味噌を作り続けている家庭は少なくない。最近では、自宅で作る際に、昔は使われなかった醤油を加える家庭があるなど、食され方も時代に合わせて変化している。
また、海士町では、若い母親層や子供たちにこじょうゆ糀、こじょうゆ味噌をはじめ、海士町の地元料理を伝える小冊子「海士飯(あまめし)」を発行し、継承と普及に努めている。
主な食べ方
万能調味料として新鮮な刺身や焼き魚、炒め物などに幅広く使われている。中でも多くの島民に愛されているのが焼きめし。香ばしく炙った焼きおにぎりにこじょうゆ味噌を塗った素朴な料理である。これに煎茶をかけてお茶漬けにすると、あっさりとした焼きめし茶漬けとなる。食欲のない時にも、その素朴な香ばしい味わいが食欲をそそる。
また、島で獲れたさざえと旬の野菜を炒めてこじょうゆ味噌と「こしょ」を混ぜた、こしょみそで味付けした料理も海士町の各家庭でよく食べられている。「こしょ」とはトウガラシのことで、ピリッとした辛さが食欲をかき立ててくれる。