こんかいわし
発酵食品
石川県こんかいわし
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
いわし
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出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
いわしを塩漬けし、さらにぬかに漬け熟成させたもの。「こんか」とは米ぬかのことである。ぬかに漬けることで、脂の多いいわしの酸化を防ぎ、乳酸発酵を促進させて、独特の風味や旨味を生み出している。旨味と栄養が凝縮された常備食として県民に親しまれている。夏は食欲増進のために重要な役割を果たしてきたようである。大量に作られたこんかいわしは、不漁期や冬のたんぱく源として、同時に漁村の人々にとって換金できる商品として貴重なものだった。
歴史・文化、関連行事
能登から加賀の海域で大量に水揚げされていたいわしは傷みやすく、漁師は保存方法に困っていた。そんな時、能登の酒をつくる職人である杜氏(とうじ)が酒造りを終え、酒粕を手土産に持って帰ってきた。その後、漁師が酒粕とぬかを結びつけ、保存に困っていたいわしを保存する方法を発見し、こんかいわしが誕生したと言われている。ほかにも天保の飢餓(天保4~10年)の頃に考案されたという説もある。
製造方法
頭と内臓をとった いわしを塩で漬ける。塩漬けすることで、魚肉中の腐敗細菌の増殖が抑制されるほか 、肉質の硬化、血抜きの効果がある。その後 、米ぬか、塩、味噌 、醤油 、唐辛子を混ぜ合わせてぬか床を作り、桶 の底にぬか床を敷きつめていわしを並べ、その上にまたぬか床、いわし、と 交互に漬ける。最後に押し蓋 をし、重石 をおく 。漬けて半年程度したら完成する。北陸の夏の高温多湿な環境をいかし 、発酵を促進させることで上質なものが出来上がる 。
保護・継承の取り組み
近年の食の多様化や減塩などの健康志向により、こんかの消費量が減少。そこで、こんかいわしを生産する食品加工会社8社が、こんかを食べたことがない人や減塩を好む人、ぬか漬けファンなどをターゲットにさばの漬物「みんなこんか加賀こんか」を発売。塩辛いとされてきた従来のこんかではなく芳醇な香りとまろやかな味わいに仕上げた逸品。ほかにも「金沢イタリアンシェフオーナーズクラブ」に加盟する県内のイタリア料理店10店では「こんかとインカの目覚めの薪釜き」「こんかのシチリアーナ」「こんかと野沢菜のペペロンチーノ」など、こんかを使用した多彩なアレンジ料理を提供している。
主な食べ方
ぬかを付けたまま焼いて食べるか、ぬかを洗い落して薄切りにし、酢やレモン汁につけて食べるのが、こんかいわし単体の食べ方。こんかいわしを使った料理は主に2つあり、こんかいわしと塩漬けしたはくさいやきのこ、だいこん、ねぎなどを入れて粕煮にした「べか鍋」、白山地方の野菜の漬物とこんかいわしを煮込む「いじいじ鍋」がある。また塩分濃度が高いことから、アンチョビの代わりに使われることもあるようである。