このわた、くちこ
石川県このわた、くちこ
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
なまこ
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主な伝承地域
能登地方
食品概要(特徴・種類)
このわた とは、なまこの腸を塩漬けし熟成させたもので、日本三大珍味の一つ 。潮の香りとあいまった 甘味があり、独特の食感が特徴。なまこの異称が「こ」で、その腸(わた)であることからこのわたと呼ばれている。5㎏のなまこから100g程度のこのわたしか取れないと言われている。このわたは、低カロリーで鉄分・ビタミンKも多く含まれているため不足しがちな栄養素も補給できる。なまこの卵巣を塩漬けした 、くちこ(口子) も能登の珍味で、なまこの口先にあることから、この名がついたと言われている。卵巣を持つなまこは全体のごく一部で、このわたより少量しかとれない ため貴重な逸品である。
歴史・文化、関連行事
室町時代の文献でこのわたが公家に献上されたという記録があり、平安時代の「延喜式」にも能登から朝廷に献納されたと記されている。1799年 に発刊された「日本山海名産図会」には、当時のなまこ漁法の絵や、加工方法、このわたが能登で貢物 として使われていたこと、このわたの品質の判断基準が記載されている。くちこは、奈良時代より能登の特産物として知られていたと言われており、江戸時代の加賀藩主・前田利家の祝い膳には欠かせない逸品として、天領の地「能登石崎港」から届けられていたとされる。
製造方法
なまこをいけす に移し、1~2晩程度おいて 砂や泥を吐かせる。このとき、泥をしっかり吐かせることで、腸管内の洗浄が簡単になる。つづいて本体とこのわたの原料である腸、くちこの原料の卵巣をもって いる個体であれば卵巣に分ける。腸は小刀でなまこの腹部に3~5cm程 切り込みをいれ 、ひっぱりだす 。卵巣は口にあれば採取する。抜き出した腸をしごくようにして腸管内の泥や異物、腸液を取り除く。洗浄した腸を桶 に入れ塩を混ぜ寝かせる。その後、通常5~8%程度の塩を混ぜて3~30分寝かせる。その後、ざるにあげ水分を滴下させる。水切りをしっかりして瓶詰めし、冷蔵庫で1~3日間程度熟成させたあと 冷凍保存する。
保護・継承の取り組み
能登なまこ加工協同組合では、なまこの品質向上、生産・消費拡大を目指し、商品開発や小学生にむけた 、なまこ教室を開くなどの取り組みが行われている。過去には、なまこの流通情報やおいしい 食べ方などを共有する「全国なまこサミット」が開催されていたなど、 取り組みは様々である 。
主な食べ方
このわたはそのまま食べるのが一般的だが、うずらの卵 を入れ、いかやクラゲと和える とよりおいしく 食べられる。自家製のものなら3日程度を限度に食べきる、市販のものも開封後はなるべく早く食べきるよう言われている。熱燗 に少量のこのわたを入れて作る「このわた酒」もある。くちこは軽く炙って食べるのが一般的。