京漬物(きょうつけもの)
発酵食品
京都府京漬物(きょうつけもの)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
野菜、塩
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主な伝承地域
京都市、山城地域
食品概要(特徴・種類)
京漬物は京都ならではの食材や由来のある漬物をさす。京都は周辺に海がないことで保存技術が発達し、盆地特有の気候と良質で豊富な地下水がとれたことから野菜の栽培に適していた。また寺院が多いことで古くから漬物作りが盛んに行われ、漬物文化が発展した。
代表的なものには、「千枚漬」「すぐき漬」「しば漬」「菜の花漬」「京壬生菜漬」などがあり、それぞれに生産時期や旬が異なる。千枚漬やすぐき漬は11月頃から生産が始まり、その漬け込みの様子は京都の冬の風物詩となっている。京漬物は、地元の人々に愛されるとともに、観光客にも人気の土産物である。
歴史・文化、関連行事
京都では古くから、「洛外」と呼ばれる郊外で、都市部の人々の食を支える野菜が豊富に作られていた。現在でも、聖護院大根、壬生菜、賀茂なす、山科なす、桃山大根など、地名を冠した多くの独自の野菜が生産されている。
漬物は、旬の野菜を料理の具材として使用するため、塩蔵保存していたことに始まる。「千枚漬」は江戸時代、京都御所で料理方を務めていた大黒屋藤三郎が、退任後に聖護院カブを薄切りにして漬けたのが始まりである。
聖護院カブは、享保年間に滋賀県で栽培されていた近江カブの種を左京区聖護院の農家が持ち帰り栽培を始めたのが起源とされる。京都府が定める「京の伝統野菜」の一つであり、大きなものは4~5kgにもなる国内最大級のカブで、柔らかくきめ細やかな味わいが特徴である。
千枚漬は今では昆布などとともに食酢に漬けて作られるため、日持ちせず、昆布のぬめりと、淡い繊細な味が特徴である。
「すぐき漬」に使われるスグキは「酸茎」とも書かれ、長らく京都の上賀茂でのみ生産されていたカブラの一種である。その栽培は、江戸時代後期までは上賀茂神社の社家(神社の奉仕者やその家族)に限定されていたが、明治以降一般に普及した。すぐき漬は塩だけで漬け込み乳酸発酵させるため、酸味のある味が特徴であり、葉とカブラは別々に切って食される。
「しば漬」は大原の名産品で、大原は昼夜の寒暖差が激しいため上質の赤シソが作られる。しば漬の名前は平安時代に建礼門院が名付けたといわれ、「紫葉漬」とも呼ばれることがある。今ではキュウリやミョウガを加えることが多いが、「生しば漬」はナスと赤シソを塩だけで漬けて乳酸発酵させたものであり、赤シソの美しい色と豊かな香りが特徴である。
「菜の花漬」は「松ヶ崎漬」とも呼ばれる。松ヶ崎では古くから灯明油を採るために菜の花が栽培され、間引きした花を漬けた漬物が作られた。現在は浅漬けにされることが多いが、中にはぬか漬けにされるものもあり、ほろ苦い味が特徴である。
「京壬生菜漬」に使われる壬生菜は江戸時代、壬生寺のある壬生で発見された水菜の変種が起源である。京都府が定める「京の伝統野菜」の一つで、特有の辛みと香りがあり、しゃきしゃきとした食感が特徴である。千枚漬にも京壬生菜が添えられることがある。
製造方法
「千枚漬」は、聖護院カブの皮を厚くむき、丸のまま3mmほどの薄さに削り、みりん、酢、砂糖で味付けした昆布と交互に樽にならべて漬け込む。3日ほどで完成する。
「すぐき漬」は、本漬の前に一晩塩漬けし、翌日洗って再度塩漬けする。重石を乗せて一週間後、火を起こした練炭で温めた室に一週間置き、乳酸発酵させる。その後、自然の気温で冷まし、5~6日後に漬け汁が上がれば完成する。
「しば漬」は、切ったナスとシソの葉に塩を振り、重石をする。ナスとシソのアクを随時取り除くのがポイントで、2か月ほど熟成し乳酸発酵したら完成する。
「菜の花漬」は、つぼみから七分咲の菜の花を使用し、昔ながらの糠漬は塩で下漬けした後、赤トウガラシと糠袋を入れて重石をする。3週間ほどで完成する。
「京壬生菜漬」は、新鮮な壬生菜を塩で下漬けし、翌日丁寧に洗い、さらに塩だけで漬けて重石をする。色が鮮やかで適度な歯ごたえを残すため、一晩で完成する。
保護・継承の取り組み
京都府は「京都府伝統と文化のものづくり産業振興条例」に基づき、以下の要件に該当するものを「京もの伝統食品」として指定し京もの伝統食品の普及啓発に努めている。1,伝統的に使用されてきた原材料又は同種のものを主たる原材料として製造される食品、2,伝統的な技術若しくは技法又はこれらを応用した方法により製造される食品、3,食の安心・安全の確保に必要な措置を適切に講じた上で製造される食品。「京もの伝統食品」として、千枚漬、すぐき、しば漬が、「京つけもの」として指定を受けている。
各地に老舗のメーカーが残っており、各漬物の伝統を受け継いでいる。
お漬物を現地で味わえるランチや、ぬか漬け体験などを行っている店もある。
また、大学とお菓子メーカーによりしば漬を使った飴菓子の開発なども行われている。
主な食べ方
一般的にはごはんのお供に食べるほか、お茶漬けにしたり、酒の肴として食べられることもある。
アレンジレシピ:京漬物入りツナサンド
材料
京漬物
60g
食パン
4枚
ツナ
1缶
マヨネーズ
大さじ3
練り辛子
適量
バター
適量
作り方
京漬物は細かく刻む。ツナは水気を切る。
1にマヨネーズ、練り辛子を加えて和える。
食パンにバターを薄く塗り広げて、2を挟む。同様にもうひとつ作る。
食べやすい大きさに切り、器に盛る。