孟宗汁(もうそうじる)
山形県孟宗汁(もうそうじる)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
孟宗筍、厚揚げ、しいたけ、酒粕、味噌
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主な伝承地域
庄内地域
食品概要(特徴・種類)
孟宗汁は、庄内地域で「孟宗」と呼ばれる孟宗竹のたけのこを味わう郷土料理。九州から徐々に北上する孟宗の旬は5月の中頃、北限の地・庄内に到達するが、そこから夏前までは街中に香りが充満するほど、孟宗汁が各店各家で食べられる。
鶴岡市の湯田川温泉周辺や谷定地区、温海の早田(わさだ)地区などが孟宗の産地として知られ、とくに湯田川で採れるものは色白で柔らかく、甘みもあることから「湯田川孟宗」の名で流通し、人気が高い。酸化鉄を含む粘土質の赤土の土壌が、良質な孟宗を育むという。
酒どころの庄内らしく、孟宗汁には酒粕が使われる。孟宗のほか、厚揚げ(庄内では「油揚げ」という)、しいたけ、豚肉などを入れるのが一般的だが、地域・家庭によって具材は少しずつ変わる。
採れたての孟宗はえぐみが少なく、アク抜き不要。孟宗汁もまた、孟宗の新鮮さが美味しさの一番の決め手。酒粕のほのかな甘みが新鮮な孟宗の風味を際立たせる、庄内の遅い春を見送る一品だ。
歴史・文化、関連行事
孟宗竹の日本への移入は1736(元文元)年、薩摩藩主・島津家により中国から2株もたらされたものが最初とされる。その後、江戸の薩摩屋敷にも株分けされ、鹿児島と江戸の2か所から全国へ広まったという。
庄内へと伝わった由来は諸説ある。一説にはかつて修験の山であった金峰山へ修験者が北前船で京都から持ち込み、周辺の寺社に植えたのが始まりといわれる。藩政時代は竹が珍重され、許可なく採ることが禁じられていたため、別格として扱われた社家に植えこむことで食べ継ごうとしたという。こうして守られた孟宗の食文化が一般に広まったのは、藩政が終わった明治以降とされる。
製造方法
孟宗が新鮮な場合はそのまま皮をむき乱切りにする。鍋に孟宗と煮干し、水を入れ、火にかける。孟宗が煮えたら豚肉、椎茸を入れ、酒粕と味噌を加えて味を調え、最後に厚揚げを入れて、ひと煮立ちしたら出来上がり。
収穫から時間がたった孟宗はまずアク抜きをする必要があり、皮つきのまま米のとぎ汁で煮てえぐみを抜く。外皮を2~3枚はがして深鍋に入れ、赤唐辛子1~2本とかぶる位の米のとぎ汁を鍋に注ぎ入れ、落とし蓋をして弱めの中火で50分ほどゆでる。ゆで汁につけたまま冷まし、皮をむいて水洗いして水気を切る。
保護・継承の取り組み
湯田川温泉では4月下旬から6月初旬にかけて「孟宗まつり」が開催され、各旅館自慢の孟宗づくし料理を味わうため、県内外からたくさんの人が訪れる。他の産地でも孟宗が主役のまつりが開催され、5月に行われる「酒田まつり」や「鶴岡天神まつり」では、孟宗汁がごちそうとして親しまれている。
収穫から5時間以内の〝朝掘り〟の孟宗を入手することは、産地以外では困難だが、温めるだけで食べられるレトルトパックの孟宗汁がインターネットで販売されており、気軽に購入できる。
主な食べ方
レトルトパックなどの加工品は温めてそのまま食べられるが、お椀に盛ってから山椒の葉を手のひらで叩いてのせると春を感じることができ、香りもよい。
現地では豚肉を入れたり入れなかったり、豚肉の代わりに身欠き鰊を入れたり、アオサを加えたりするなど、家庭や地域によって具材が少しずつ変わる。