蒸しほや(むしほや)
発酵食品
宮城県蒸しほや(むしほや)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
ほや
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主な伝承地域
県内全域(三陸海岸)
食品概要(特徴・種類)
蒸しほやとは、宮城県特産の海産物であるほやを蒸しあげたもの。蒸すことによってより食べやすくなり、さらに旬を迎える夏の時期以外でも濃厚なほやのおいしさを楽しめるようになった。酒蒸しにしたものが多いが、塩や醤油等で味付けされたものもある。ほやは初夏から秋が旬。冬に比べて夏のほやはグリコーゲンの含有量が8倍にもなるとされ、その他にも亜鉛や鉄分、タウリン、ビタミンD、ビタミンB12など栄養豊富である。
歴史・文化、関連行事
北海道で水揚げされる「赤ほや」に対し、宮城県で水揚げされるのは「真ぼや」。黄色っぽく凹凸があるのが特徴で、その見た目から「海のパイナップル」とも呼ばれる。ほやは、紀貫之の「土佐日記」に登場することから1000年以上前から食べられていたとされる。複雑に入り組んだ地形と豊富なプランクトンを有する三陸の海はほやの育成に適しており、120年程前の明治時代に現在の気仙沼市唐桑町で養殖が始まった。特に牡鹿半島の北側で養殖が盛んに行われており、今では全国生産量の約8割を誇る宮城県を代表する海産物の一つとなっている。
2年半から3年を海の中で過ごし、じっくりと育ち、冬至の頃から早春に産卵期を迎え、3月頃から水揚げが始まる。春から夏にかけては餌をたくさん食べておいしくなる。
ほやは鮮度が重要な食材であり、鮮度が落ちるとえぐみや臭みが出てしまう。蒸しほやに加工することで独特のにおいなどが抑えられ、ほやが苦手な人でも食べやすくなる。また、真空処理等を行い、産地から離れた地域や旬以外の季節でもほやが楽しめるようになった。
製造方法
殻が付いたままのほやから、吸水孔や排水孔、根を落として縦半分に切り、黒い内臓部分を取り除いて塩水できれいに洗う。鍋に殻を下にしてほやを入れ、少量の水を加えて焦がさないように注意しながら強火で蒸し煮にする。湯気が立ってきたら酒を振り入れ、中火でさらに蒸し煮にする。中身が丸まったら完成。酒を加えることで風味が良くなるが、酒を入れずに塩蒸しにしたり、ピリ辛や醤油味に味付けしたり、酢漬けにしたりすることもある。オンラインショップなどで冷凍品も販売されている。
保護・継承の取り組み
宮城県内の加工事業者や個人、企業、団体、行政機関等が連携し、宮城県のほやの魅力を広く国内外に発信する「宮城県ほや協議会」は、品質保持と鮮度管理を徹底したほやを「ほやの極み」と認定。ブランディングに努める他、「ほやフェスティバル」の開催や展示会への出展などに取り組んでいる。
ほやの認知度向上・販路拡大を通じて東北の振興を目指す一般社団法人「ほやほや学会」は、ウェブサイトや冊子などで情報発信を行っている。
宮城県ではこれまでアメリカやベトナムでほやのプロモーションを行っており、今後も海外の販路開拓に力を入れるとしている。
主な食べ方
ほやは刺身や焼きほやの他、酢の物、塩辛、天ぷら、炊き込みご飯、しゃぶしゃぶなどにして食される。時期を同じくして旬を迎えるきゅうりと一緒に食べるのも定番である。また、近年はほやカレーやジャーキーといった加工品も多く登場している。
石巻地域の家庭で食されてきた「ほや雑煮」は、塩漬けしたほやを焼き、干してだしをとり、戻したほやも具材に使う。2023年3月に文化庁の「100年フード」に認定された。
蒸しほやは、そのまま殻をむいて酒の肴にする他、ソテーやサラダにしてもおいしい。学校給食では千切りにしてスープに入れるなどのアレンジを加えて提供されており、子ども達にも親しまれている。
アレンジレシピ:蒸しほやの酢味噌和え
材料
蒸しほや
8粒
A みそ:小さじ2 みりん :小さじ1 酢:小さじ1/2
青じそ(せん切り)
1枚
作り方
蒸しほやは殻から外す。
ボウルにAを入れて混ぜて、1のほやを加えて和える。
器に盛り、青じそを飾る。