ナリ味噌(なりみそ)
発酵食品
鹿児島県ナリ味噌(なりみそ)
分類(大)
農産
分類(小)
醤油、味噌、その他調味料
主な使用食材
ソテツの実(ナリ)、玄米、大豆、麹
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主な伝承地域
奄美大島、徳之島
食品概要(特徴・種類)
ナリ味噌は、奄美大島や徳之島で作られる、ソテツの実である「ナリ」を砕いて入れた味噌である。ソテツは鹿児島県の大隅半島から沖縄県の八重山諸島で生息する植物で「生きた化石植物」とも言われる。やせた土地や急斜面でもよく育ち、奄美諸島では防風林や境界樹として使われている。ソテツの実や幹には多くのでんぷん質があることから、長年救荒食として食されてきた。実と幹はサイカシンという有毒物質が含まれていたが、製造過程で無毒化し使用できるようになった。ソテツの実を挽いて水にさらしたものを乾燥させたでんぷん質の粉である「ナリ粉」というものもあり、こちらは粥、焼酎、味噌、醤油、菓子など広い用途で使われるが、ナリ味噌は実も砕いて入れる。昔は秋から初冬にかけ、ソテツの新しい実が収穫されると、ユイワク(共同作業)をしながら1年分の味噌づくりをした。
歴史・文化、関連行事
1747(延享4)年、薩摩藩による「換糖上納令(米を黒糖に換算して税として納める制度)」以降、奄美諸島では主たる栽培品を米からサトウキビへ転換するようになった。年貢の厳しい取り立てにより食料が不足したため、米にかわる食材として身近なソテツが食べられるようになった。
味噌づくりは、かつては奄美の女性の大事な仕事で、「紬(つむぎ)を織れない者と、味噌のつき方を知らない者は嫁にやるな」や「味噌は所帯のもと」ということわざがあるほどであった。
製造方法
麹はナリから作られたり、玄米や大麦を原料としたりすることがある。
ナリを割って白い実を取り出して水洗いする。水洗いしたナリをむしろや竹ザルに広げ乾燥させ、その実を粗く製粉し、さらに乾燥させる。水に一晩浸した玄米の水気をよく切り、ナリの粉末と混ぜ合わせて蒸す。むしろの上に広げて発酵させ、ナリ麹にする。
柔らかく煮てすり潰した大豆とナリ麹をよく混ぜ、発酵させる。
ナリの毒であるサイカシンは水溶性なので、しっかり水にさらすことで解毒ができる。
保護・継承の取り組み
文化庁「100年フード」において、なり味噌として、「伝統の100年フード部門 ~江戸時代から続く郷土の料理~」に認定されている。
主な食べ方
そのまま食べたり、豚・魚・いか・たこなどを漬け込んだりして、つまみや茶請け味噌として食べる。料理の調味料としても使われる。