にしんのすし
発酵食品
福井県にしんのすし
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
だいこん、にんじん、身欠きにしん、米麹、鷹の爪
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主な伝承地域:
奥越地方、嶺南地方
食品概要(特徴・種類)
にしんのすしは、にしんの頭と内臓を取り除いて乾燥させた身欠きにしんとだいこんやにんじんなどの野菜を米麹で漬け込んだ伝承食で、いずし・なれずしの一種。にしんは腐りやすいため身欠きとし、保存するために2~4週間程度、発酵・熟成させることで、にしんのうま味がだいこんにしみ込む。主に冬場の保存食として食され、正月にはおせち料理の一品としても提供される。
歴史・文化、関連行事
江戸時代から明治時代にかけて、北海道と大阪を日本海周りで結び、各地の商品を売買しながら運航していた「北前船」と呼ばれる商船があった。各地の寄港地には、北海道からの昆布やにしんを始めとする海産物がもたらされ、各地で北の食材を活用した独自の食文化が定着していった。福井県では、坂井市(旧三国町)、南越前(旧河野村)、敦賀・小浜の寄港地を通じてにしんが伝わった。もともと福井県は、海産物を使った「なれずし」の発酵技術が蓄積されてきた地域であり、その加工技術を用いて生み出されたのがにしんのすしである。冬場の保存食として、特に正月のハレの日の料理として食べられることが多いが、敦賀市では9月に行われる「敦賀祭」の宵宮(よいみや)には欠かせない料理として伝わっている。
製造方法
干しておいただいこんを塩漬けにして、容器に重しをして置いておく。身欠きにしんは糠(ぬか)を入れた水(米のとぎ汁)に一晩つけて、柔らかくする。うろこ、背びれ、腹の黒い薄皮等汚れを取り除き、2~3つに切る。にんじんは1㎝厚さの斜め切りにする。にしんと塩漬けにしただいこん、にんじんを交互に重ね、米麹、鷹の爪、味付けに、みりん、薄口醤油、酒をかける。全て敷き詰めたら、重しをして2~4週間寝かせて完成。
保護・継承の取り組み
少量つくるのが難しい食品のため、家庭でつくられる機会は減少しつつあるが、敦賀市では現代的な調理用具で少量でもつくれるレシピを公開するなど、身近なものにするための努力を行っている。JA敦賀美方女性部や敦賀市生活改善実行グループ連絡研究会など地域の団体が伝承に取り組んでいる。
また、福井県における発酵文化と北前船によってもたらされた食材が融合した貴重な食文化として、地域団体による情報発信を通じて保護・継承活動が行われている。2021年に、文化庁の100年フードに「若狭地方のニシンのすし」として認定された。
主な食べ方
発酵食品のため、熟成期間によって味の変化が楽しめる。熟成期間が長いほど、乳酸発酵が進み、だいこんのうま味と酸味が増す。近年では真空パックされた状態で販売されている他、スーパーマーケットでお惣菜としても購入できる。
そのまま食べてもよいが、にしんをアルミホイルに載せてオーブントースターで軽く焼いて食べても美味しい。