ぬかいわし
発酵食品
山形県ぬかいわし
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
いわし、米ぬか、塩
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主な伝承地域
鶴岡市
食品概要(特徴・種類)
いわしを米ぬかとたっぷりの塩で漬け込んだ「ぬかいわし」は、雪深い鶴岡の、とくに山間部の冬になくてはならない保存食。貴重なタンパク源となってきた。かつて庄内浜は、どの漁港もいわしの豊漁にわき、春のうちに箱で買い求めた大量のいわしを各家庭で樽いっぱいのぬか漬けにして、秋冬の蓄えとした。
しょっぱさの中にいわしのうま味が凝縮し、発酵による甘みも感じられるぬかいわしは一匹で何膳もご飯が食べられ、最高のご飯のお供。今は加工品が重宝され、ご飯に合わせるだけでなく、酒肴としても人気が高い。
歴史・文化、関連行事
越後(今の新潟県)で盛んに行われていたイワシ流し網漁が、天明年間(1781~1789)に羽前西田川郡豊浦村湯野浜(庄内浜の中ほど)へと伝来。明治初年以降、一般に行われるようになると庄内浜ではいわしの豊漁が続き、塩分強めに漬けられるぬかいわしが、山間部の冬の蓄えとしていっきに浸透したという。当初は各家庭で漬けられていたが、商用でぬかいわしの加工を行うようになったのは、庄内浜近くに唯一、加工場のあった手塚林蔵商店(現・手塚商店)。創業した明治半ばはとくにいわしがたくさん獲れて安価だったこと、そして、米どころ・鶴岡とあって米ぬかが豊富だったことが重なり、新鮮ないわしがぬかいわしへと加工され、地域の人々の胃袋を支えた。
地球温暖化の影響もあり庄内浜での漁獲量は減ったものの、時期によって他地域のいわしも使いながら、昔と変わらぬ、ぬか漬けの技が継承されている。
製造方法
いわしの頭と内臓を取り除く。容器に塩をまぶしていわしを並べ、さらに塩をふって落し蓋と重石をのせて塩漬けする。
7日後にいわしを取り出す。種を取って小口切りにした唐辛子を混ぜ合わせた米ぬかを桶(樽)にたっぷり敷き、取り出したいわしを並べて、そのいわしが見えなくなるまで、さらに唐辛子入りの米ぬかをまぶす。いわしと米ぬかを交互に重ね、落し蓋と重石をする。冷暗所に保存し、2週間後ぐらいから食べられる。好みで半年ほど熟成させてもよい。
ポイントは、油がのったいわしの場合は塩漬けの塩を分量より多めにすることと、塩漬けの際に上がってきた水を捨てること。塩漬け後に1尾焼き、塩加減を確認するとわかりやすい。塩味が薄い場合は塩を足し、もう2、3日漬け込む。
保護・継承の取り組み
「庄内浜文化伝道師」、さらにその指導者にあたる「伝道師マイスター」として県の認定を受けた漁師、魚屋、料理人、主婦らが料理教室などに取り組むほか、ラジオ番組やSNSなども活用し、地の魚介類の魅力を楽しく発信している。
ぬかいわしはスーパーなどで購入でき、とくに庄内浜でいわしが揚がる春頃には良質な加工品が販売される。
主な食べ方
表面のぬかを落とし、焼いて食べられている。発酵の甘みはあるものの塩辛いため、ご飯も酒もどちらも進む。アンチョビ代わりに、パスタなどに使われることもある。