おひな菓子(おひながし)
山形県おひな菓子(おひながし)
分類(大)
その他
分類(小)
菓子類
主な使用食材
白生あん(いんげん豆)、砂糖、生あん(小豆)、もち粉、水飴、寒天
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
画像提供元:(一社)DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー
「リンクについて・著作権」に同意して
画像をダウンロード
(245KB)
主な伝承地域
鶴岡市
食品概要(特徴・種類)
3月3日や月遅れの4月3日に祝われる鶴岡市の雛祭りには、豪華に飾られた雛人形に、色鮮やかな「おひな菓子」が供えられる。
おひな菓子には大きく二つの形式があり、一つは京菓子を踏襲したとされる盛り菓子で、お多福や鯛、たけのこなどの縁起物をかたどった打ち物(落雁などの干菓子)と飴細工などを配した、日持ちのする飾りに近いもの。もう一つは、やはり縁起物の鯛や海老のほか、庄内柿や温海かぶ、民田なす、サクランボなど、鶴岡の特産物を模した、味にもこだわった練りきりの上生菓子で、繊細につくられた本物そっくりの菓子には仕上げに寒天が流しかけられ、美しいつやまで添えられる。
近年は食べる楽しみもある、艶やかな生菓子が主流となりつつあり、毎年、菓子職人たちが技術・発想力を競い合い、時代に合ったデザインや新たなモチーフの菓子が生み出されて、女の子たちの健やかな成長と多幸が祈られている。
歴史・文化、関連行事
鶴岡市のおひな菓子のルーツは、江戸時代にまでさかのぼる。当時の鶴岡は酒井家が統治した城下町。北前船や参勤交代により、京都や江戸から豪華な雛人形が鶴岡へと渡り、上級武士・豪商の家で雛祭りが祝われるようになった。そこに供えるためにつくられたのが、当初は雅な京風の干菓子が主流だったという、おひな菓子だ。鶴岡では各家自慢の雛人形を公開して子孫の繁栄を願う文化があったため、おひな菓子もまた美しさが競われ、菓子職人にとっても自分の技を披露する絶好の機会だったという。
明治になると雛祭りは庶民にも広まり、おひな菓子も徐々に変化していく。昭和20年代後半には練りきりに彩色した菓子がつくられるようになり、年々色鮮やかになっていった。
酒井家をはじめとする旧家の雛人形は今も多くの人に公開されるが、おひな菓子も鶴岡ならではの食文化として、人形とともに伝承されている。
製造方法
こしあんの上に、もち米や白玉粉、水あめや砂糖を加えてつくった求肥を練り込んだ色鮮やかな練りきりを重ね、細部の質感なども再現して本物そっくりの野菜やフルーツ、縁起物をかたどった練りきりをつくる。できあがった練りきりに溶かした寒天をかけて光沢を出し、枝や葉などのパーツを取り付ければ、本物そっくりでありながらも愛らしい、おひな菓子ができあがる。寒天は見た目の美しさだけでなく、食べたときの口どけや食感の柔らかさにもつながる。
保護・継承の取り組み
庄内藩主酒井家の御用屋敷を博物館として公開した致道博物館では、毎年雛祭りの頃に「鶴岡雛物語」と題し、貴重な雛人形や雛道具、おひな菓子の展示が行われている。
また、おひな菓子は各店頭で販売されるほか、インターネット販売も行われるため遠方からの購入も可能だが、手間がかかることもあり、数量や配送日等を限定し、予約注文を受け付ける店が多い。
主な食べ方
雛人形に供え、そのまま食べられている。雛祭りの集いを催すと、子どもたちが思い思いに好きな菓子を選び、遊びながら食べられる。