押しずし(おしずし)
石川県押しずし(おしずし)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
米(酢飯)、旬の魚
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出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
酢でしめた魚、すし飯、海藻を食用の色素で青色や紺色に染めた紺のり、桜えびなどを散らし、一晩押して寝かせたもの。一晩寝かせることで、魚とご飯の旨味を互いに引き出すと言われている。石川県では昔から、正月や冠婚葬祭、お祭りの日に押しずしを振る舞う習慣があり、春ならたい、いわし、あじ、秋はさば、シイラと季節によって使う魚が異なる。味に加えて、白い酢飯とえびの紅、のりの青色、魚の切り身の色が美しく食欲をそそる。金沢市では経木(薄板)や酢でさらした薄切りのだいこんなどが使われるが、加賀地方では笹で包んだ「笹ずし」や、小松市や加賀市などでは柿の葉を重ねた「柿の葉ずし」も食べられている。
歴史・文化、関連行事
神様に豊作や海の安全祈願をするために供えた米と、塩をふった魚を箱に入れ、押しずしにし、みんなで分け合って食べていたことが始まりとされる。現在では行事の前になると家族で大量に作り、近所の人に配るのが恒例。すし飯を敷く、魚をのせる、ふたをして押さえるといった工程を家族内で分担して作っていた。
製造方法
米は洗って1~2時間程度水につけ、ざるにあげて30分ほど置く。米に昆布を入れて炊き、すし酢をふりかけて混ぜ、濡れ布巾をかけて冷ます。魚は3枚におろし塩を強くふり2~3時間程度おいて身を締め水洗いして水気をふき取る。紺のりは水にくぐらせて戻す。すし枠を水で濡らしておき、木の芽、レモン、魚を並べ、すし飯を広げその上に紺のり、桜えびをのせて同じようにくり返し重ね、重石をして一晩寝かせる。盛り付けの際に、南天やきんかんなど彩りが添えられることでより美しく出来上がる。家庭によって材料や作り方に大差はないが、それぞれ家庭の味があるという。
保護・継承の取り組み
押しずし作りは手間がかかるため、家庭で手作りする人が減少しており、寿司屋やデパート、スーパーやコンビニなどで販売されたものを購入する家庭が多い。核家族化し伝承が難しくなった押しずしの文化を継承すべく、地元有志が「加賀おしずし研究会」を設立し、イベントでの押しずし販売、押しずし作りの講習会の開催や新たな具材を使ったレシピの開発などさまざまな取り組みをしている。また、留学生交流イベント「JAPAN TENT」では、魚肉類を食べられない留学生のためにみょうがの押しずしを振る舞うなどして押しずしの魅力を伝えている。
主な食べ方
祭りの主役とも言われる押しずしは宴席で親戚縁者に振る舞われ、祭りの合間につまむのはもちろん、今日では祝い事の他、手土産にも喜ばれている。また押しずしのルーツ・箱寿司にちなんだ、さけやたいの押しずし「お贅(おにえ)寿し」という駅弁はかつて観光客に人気を得ていた。