大矢知そうめん(おおやちそうめん)
三重県大矢知そうめん(おおやちそうめん)
分類(大)
農産
分類(小)
穀類
主な使用食材
小麦粉、水、塩、油
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主な伝承地域
四日市市大矢知地区
食品概要(特徴・種類)
大矢知そうめんは、四日市市大矢知地区でつくられるそうめんである。この地域特有の季節風である「鈴鹿おろし」と朝明川の清流という気候風土、さらには北勢地域が小麦の生産地であったことなどの条件により育まれた麺は、引き締まったコシの強さ、なめらかな舌触りが特徴とされる。
乾いた風にさらされて引き締まり、冷え込みが強いほど良いものができるため、大寒前後の1月下旬が生産のピークとなる。製品にしてから2~3年寝かせたものは一年ものより質が良く、おいしいと言われている。これは、気温や湿度の変化により、麺内部の水分が吸排出されることで、歯切れの良さが向上し、つるみ感が増すためとされている。
そうめんは七夕行事やお盆の行事に食されるなど夏に食べられることが多いが、寒いときにも温かくして「にゅうめん」として食べられる。どのような味付けにも馴染み、保存性も高い加工品である。
歴史・文化、関連行事
大矢知そうめんは江戸時代末期(約200年前)から「三重の糸」「伊勢そうめん」の商標で、農業の副業として生産されてきた。その発祥は、朝明川沿いの農家に泊まった旅の僧侶が、親切にしてもらった御礼として製法を伝授したことが始まりと言われる。
明治の初めごろ、兵庫県の「灘そうめん」の近代的生産方法が伝わると、大矢知そうめんの生産量も上がり、中部地域にまで出荷されるようになった。戦前は400軒ほどが生産をしていたが、昭和20年頃、材料が手に入らない時期に多くの店が廃業し、現在では10軒ほどにまで減少した。現在操業しているのはいずれも家内生産工業で、粉を練る等の作業は機械化されているが、麺を延ばす工程はその日の温度、湿度等を職人が長年の経験と勘をたよりに手作業で行う伝統的な製法を守り続けている。
製造方法
大矢知そうめんの製造は、厳寒の日の午前3時頃、原材料を混ぜる工程から始まる。小麦粉と塩を加えて練り上げ、翌朝から手延べ作業にかかる。生地に油(わたの実油)を塗布し、手作業で延ばしていくが、その際に「縒(よ)り」を入れながら麺を延ばしていくことがポイント。そうすることで、もちもちとした食感が生まれる。1mm程度の細さになるまで伸ばした麺は、吊るして乾燥させて極細緬に仕上げる。この工程は、かつては鈴鹿山系からの寒風に当てるため庭先で麺を吊るして干したことから、「かど干し」と呼ばれている。
保護・継承の取り組み
大矢知地域では直売所や四日市市内の飲食店でその味を楽しむことができる。地元の物産を扱う「じばさん三重名品館」では、「手延べめんまつり」を開催し、大矢知そうめんや冷や麦の販売を定期的に行っている。2014年には、大矢知そうめんをイメージしたゆるキャラ「めんちゃん」が誕生し、地元産品のPRと保護継承を進めている。
また、大矢知そうめんの製麺所による多彩なそうめんレシピの紹介もされており、大矢知そうめんの消費拡大に努めている。
主な食べ方
夏に食べる冷やしそうめんが一般的だが、温かい汁で食べるにゅうめんや、様々なタレと具材を絡めたアレンジレシピが開発されている。