西条柿の干し柿(さいじょうがきのほしがき)
島根県西条柿の干し柿(さいじょうがきのほしがき)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
柿(西条柿)
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主な伝承地域
松江市(畑地区、本庄地区、秋鹿地区)、浜田市三隅町
食品概要(特徴・種類)
松江市畑地区に伝わる干し柿は「飴色の宝石」と呼ばれ、昔から珍重されてきた。大きさは小ぶりの卵くらい、感触は耳たぶほどの柔らかさ、糖度は60度で口一杯に豊潤な甘さが広がる。畑地区は干し柿作りに適した地として、昔から西条柿が栽培されてきた。現在でも、十数軒の農家が4千本の柿の木を栽培し、毎年30万個の干し柿を出荷している。
畑地区は周囲を山に囲まれ、標高も比較的高く、乾燥した風が吹き込む傾斜地であり、粘土質で保水性が豊かな土壌である。こうした気候風土が干し柿の糖度を凝縮させ、表面に白い果糖をまとった甘味が強く中心部がゼリー状の絶妙な食味となる。
島根県の西条柿の栽培面積は日本一で、畑地区以外にも、本庄地区や秋鹿地区、浜田市三隅町、旧平田市(現在の出雲市)などでも西条柿の栽培が盛んに行われている。
歴史・文化、関連行事
古くは出雲国尼子氏との合戦を繰り広げていた毛利軍の農民武士が、手軽な兵糧として干し柿の穂木や苗木を持ち込んだと伝えられている。それを裏付けるように、松江市には樹齢200年以上の生樹が点在し、秋鹿地区には樹齢500年の大木が現存する。また江戸時代には干し柿が贈答品として盛んに出荷され、1809年には畑地区の石橋佐助が干し柿作りを行う専用の柿小屋を作ったという記録が残されている。
11月下旬からの1か月間、3階建ての柿小屋いっぱいに無数の柿が干される様子は、晩秋の訪れを知らせる風物詩となり、「百年後に残したい景観百選」と評されている。近年では多くの観光客や写真家が訪れるようになった。
製造方法
1月からの剪定、初夏から真夏にかけての摘果を経て、柿が完熟する11月に収穫期を迎える。収穫された柿は、ヘタを取り、1個ずつ丁寧に皮剥きし、同じ大きさに仕分けして専用紐に取り付ける。これを風通しの良い木造3階建てのガラス張りの専用小屋である柿小屋に吊るし、約1か月間、荒干し乾燥や補助乾燥、天日乾燥を繰り返していく。常に天候と気温に注意し、30日間かけ、表面に白い果糖が出るまで干し上げられた柿は12月、検査を受けてから出荷される。
使用される材料は、土づくりから剪定、摘果、草刈りまで丁寧に育てられた地元産の西条柿のみ。それが地元の天日と風、そして作り手によって「飴色の宝石」に生まれ変わるのである。
保護・継承の取り組み
畑地区では、良質な西条柿を栽培するために全農家が一丸となり、除草剤は一切使わず、農薬や化学肥料の使用を大幅に減らしている。
その他に、期間限定のカフェ、菓子店とのコラボ、地元小中学生を対象とした体験教室、高校生による新レシピ開発などを通じ、食文化の継承と新たな販路拡大にも取り組んでいる。2009年からは柿オーナー制度も開始し、地域全体のファンづくりを進めている。
主な食べ方
高級贈答品として贈られることが多く、そのまま食べるのが一般的。
ワインに浸したり、バターやチーズを挟んだり、カナッペなど、洋風な食べ方も楽しむことができる。また、近年では干し柿を使った天ぷらも人気が高い。
アレンジレシピ:干し柿の水切りヨーグルト和え
材料
西条柿の干し柿
2個
ヨーグルト
400g
はちみつ
適量
作り方
ボウルにザルをのせてキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトをのせラップをし、冷蔵庫で一晩水切りをする。
干し柿は細かく刻む。
器に1の水切りヨーグルトを盛り、2の干し柿をのせてはちみつをかける。