青菜漬(せいさいづけ)
発酵食品
山形県青菜漬(せいさいづけ)
分類(大)
農産
分類(小)
漬物
主な使用食材
山形青菜、塩、醤油、砂糖、酒、焼酎
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主な伝承地域
村山地域、置賜地域、山形県全域
食品概要(特徴・種類)
青菜漬は、冬の保存食として長く受け継がれてきた山形のふるさとの味。多彩な漬物文化をもつ山形県のなかでも、とくに親しまれている漬物で、県の伝統野菜・山形青菜を一度塩漬けした後、水洗いし、醤油や鰹節、昆布などを合わせたタレで再び漬けこむという独特の製法でつくられる。
高菜と同じアブラナ科の漬物専用野菜である山形青菜は、9月上旬に播種し、11月末頃、雪が積もる前までに晴天が続くタイミングを見計らって収穫され、そのまま1~3日、全体がしんなりするまで天日に干した後、漬物に加工される。
一株約500gと大きく、丈は70~80cmにまで育つ。肉厚で幅の広い葉は60cm以上になり、茎もしっかりと厚みがあるため漬けこんでも軟化しにくく、青菜漬はシャキシャキとした潔い食感が楽しめる。ほのかな辛みと酸味もまた炊きたてのご飯のお供に最適で、山形のとくに冬になくてはならない漬物であり、正月の膳にも欠かすことのできない一品だ。
歴史・文化、関連行事
青菜自体は1904(明治37)年に中国から奈良へともたらされた。山形県では1908(明治41)年に、その奈良県から種子を導入。当時の農事試験場(現・農業総合研究センター)で試作したところ、それまで漬け菜として使っていた体菜(ヘラ菜)や芭蕉菜などよりも品質が優れていることがわかり、村山地方で栽培が始まると、圧倒的な品質のよさが認められ、山形県内一円へと広がったという。当初は中の茎がねじれる特性を持っていたが、ねじれの少ない変異種が選抜されて山形青菜としての栽培が始まったとされる。なお、独自に改良してつくりあげた山形青菜の品種特性を保持するため、かつては他との交雑を避けて、酒田市の日本海沖にある飛島の専用畑で採種していたという。
各家庭で秘伝の味があり、昔は大きな漬物桶で大量に漬け、春先まで食べられていたが、今は市販のものが気軽に手に入るため、初冬の風物詩となっていた家々の庭先に山形青菜が干される景色や、樽に漬けこむ風景が見られることは少なくなった。
製造方法
下漬け:
天日に干して少ししんなりした青菜を漬物桶に株のまま並べ、分量の塩を振りながら段々に重ねながら漬けこみ、押し蓋をして重石をのせる。早く水が上がるよう、呼び水を加えて3日ほど漬ける。※呼び水は量が多いと塩分濃度が下がるため、塩加減の調節が必要。
本漬け:
下漬けした青菜を洗い、しっかり水気を切る。本漬け用の焼酎以外の調味料(醤油、酒、塩、砂糖)を加熱し、沸騰寸前で火を止めて冷ます。
【焼酎をつかわないもの】 容器に水気を切った青菜を隙間のないように並べ、冷ました調味液をかける。青菜を段々に重ねるたび、この工程を繰り返し、最後に残った調味液を上からかける。
【焼酎をつかうもの】 別容器に青菜を並べ、冷ました調味液と焼酎を加える。
【どちらも】 押し蓋をし、重石をして1週間ほど漬けこむ。※漬物桶は寒いところに置く。
保護・継承の取り組
昔は各家庭に伝わるレシピでつくられていたが、現在はスーパーマーケットや直売所などで販売されている既製品を購入する家庭が多い。インターネットでも購入できるが、冬季限定の場合が多い。
主な食べ方
うま味が流れてしまうため、水洗いせずそのまま食べられる。米どころでもあり、炊きたての新米と一緒に食べるのが一般的。庄内地域では、味噌を塗った丸いおにぎりに青菜漬を巻き、網で軽く焦げ目がつく程度に焼く郷土料理、〝弁慶めし〟にも使われる。
また、酸味の出てきたものは水洗いして細かく刻み、チャーハンの具材にされるほか、塩抜きして醤油などで炒め煮にする郷土料理〝くきな煮〟などに使われる。