四方竹の土佐煮(しほうちくのとさに)
高知県四方竹の土佐煮(しほうちくのとさに)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
四方竹、砂糖、醤油、みりん、酒、花かつお、木の芽
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主な伝承地域
南国市白木谷、高知市土佐山、高知市七ツ渕
食品概要(特徴・種類)
四方竹は秋に生えるタケノコで、切り口が丸みを帯びた四角形に見えることからその名で呼ばれる。元々は造園用の品種だったが、高知ではこれを食用にしている。茹でると輝くような若竹色になり、シャキシャキとした食感と、上品な苦味と風味が出る。このタケノコをだし汁と醤油で煮込み、かつお節のうま味をきかせた土佐ならではの煮物が四方竹の土佐煮である。
四方竹の収穫は9月下旬~11月中旬まで。一般的なタケノコと違い、細長くて尖った形状をしており、掘るのではなく膝下ぐらいの長さのタケノコをポキッと折って収穫する。アクが強く傷みが早いため、水煮加工された状態で全国へ出荷される。
水煮された四方竹は、アクもなく、適度な歯ごたえが楽しめ、そのまま調理できる食材として様々な料理に活用できる。土佐煮の他にも、小さく輪切りにして煮た四方竹の真ん中に、酢飯を詰めた「四方竹の一口ずし」は、土佐田舎寿司の一品として親しまれている。
歴史・文化、関連行事
四方竹は中国南部が原産の竹で、明治10年頃に南国市白木谷へ移入されたのが日本における発祥と言われている。そこから、現在の主な産地である高知市七ツ淵、土佐山などに移植され広がっていった。
しかし、すぐに食材としての生産が広まったわけではない。収穫するとすぐにアクが出始めることや、皮を剥いて茹でると紫色に変色するなど良い状態での輸送が難しく、長らく産地でのみで消費される「幻のタケノコ」であった。現在のように県外でも目にするようになったのは、30年ほど前のこと。南国市の生産者が開発したボイル法により水煮加工され、鮮度とつやのある美しさを保った状態で全国への発送が可能となり、その名と味が知られるようになった。
製造方法
四方竹は収穫後、すぐに茹でてアク抜きをする。一般的にタケノコは皮を剥いて茹でるが、四方竹は皮を剥かずに茹でるのがポイント。茹でると茶色い皮が紫色に変わる。茹であがったタケノコは、冷水の中に放ち一気に冷まして粗熱をとり、皮を取り除く。剥き終えたら、氷水にさらして冷蔵庫に一晩入れてアクを抜き、明け方に鮮魚のように氷詰めの箱のまま出荷。そのまま水煮としてだけでなく、土佐煮や田舎寿司などに加工されるなど、様々な形で手に入れることができる。近年は、真空パックした水煮が開発され、旬の時期以外でも入手できるようになった。
保護・継承の取り組み
生産者の高齢化は四方竹の生産現場でも課題となっている。そうした状況を受け、有志が立ち上がり2011年に「白木谷ゆめクラブ(現白木谷ゆめファクトリー)」を立ち上げ、荒れた竹林の整備や、すし用味付け四方竹などの加工品の生産・販売を行うなど、集落の活性化を図る取り組みを始めた。また、2017年には共同の加工場が完成し、生産者が共同して出荷や加工を行っている。
南国市では、四方竹を特産品としてPRするため、毎年10月上旬に「四方竹祭り」を開催し、四方竹の量り売りや手作り惣菜の販売などを行っている。
主な食べ方
四方竹の水煮は、おでんの具、天ぷら、カレーやシチュー、中華丼など、和洋中様々な料理の材料として活用される。