凍みこんにゃく(しみこんにゃく)
茨城県凍みこんにゃく(しみこんにゃく)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
こんにゃく
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主な伝承地域
県北地域(大子町・常陸太田市など)
食品概要(特徴・種類)
凍みこんにゃくとは、厳冬期の畑にわらを敷き、薄くスライスしたこんにゃくを並べ、水をかけて凍結と解凍を繰り返して水分を抜いた伝統食材である。スポンジのようにだし汁を吸い込み、料理の味わいと独特の食感を同時に楽しめる。一般的には「煮しめ」として食べられるが、近年は揚げ物など様々な料理に使われている。低カロリーで食物繊維やカルシウムが豊富なことから、ヘルシー食材としても注目されている。
歴史・文化、関連行事
茨城県北部は昔からこんにゃく芋の栽培が盛んで、こんにゃく発祥の地とも言われている。
江戸時代中期に、常陸大宮市(旧久慈郡諸沢村)の農民であった中島藤右衛門が、生産にも出荷・流通にも手間がかかるこんにゃく芋を輪切りにして冬日で乾燥させ、粉末にする製法を考案。それにより長期保存や遠方への輸送が可能となったこんにゃくは、水戸藩の専売品として藩の財政を支えることとなった。水戸藩はその功績から藤右衛門に名字帯刀、麻裃着用を許可している。
凍みこんにゃくは、江戸時代後期に常陸太田市(旧久慈郡天下野村)出身の探検家、木村謙次が丹波から製法を持ち帰ったとされ、こんにゃく作りが盛んな茨城県北部で、農閑期の副業として作られるようになった。現在では、全国でもこの地域の数軒の農家のみで生産される希少な食材である。
製造方法
山間部特有の寒暖差があり降雪のない乾燥した地域で作られる。12月中旬~2月頃までの厳冬期の畑にわらを敷き詰め、薄くスライスしてはがき大に切ったこんにゃくを1枚ずつ手作業で並べて水をかけ、夜間に凍らせる。気候に合わせて干すタイミングや水の量を調整しながら、昼間の日光でゆっくりと解凍させることを20日間ほど繰り返すことで、こんにゃくの水分が抜けスポンジ状になり、最後に1週間ほどかけてしっかりと乾燥させて完成となる。乾燥した状態であれば何年も持つと言われるほど、保存性が高い。
保護・継承の取り組み
大子町には藤右衛門を祀った蒟蒻神社があり、こんにゃく農家では近年までこんにゃく芋の収穫に感謝し、手作りのこんにゃく料理を持ち寄って酒をのむ「藤右衛門講」を行ったり、藤右衛門の肖像やこんにゃくを描いた掛け軸を床の間に掛けたりして、その功績をたたえてきた。
手間暇かけて作られる凍みこんにゃくは、寒い季節での製造の厳しさや農業従事者の高齢化、農家の減少などにより1960年頃から生産者が激減し、現在は数軒の農家を残すのみとなっている。この歴史ある食材を後世に残すべく、県や大子町、常陸太田市、常陸大宮市などのウエブサイトで、歴史や販売店の情報が発信されている。また、県内の高校生による商品の企画・開発・販売など、新たな取り組みも行われている。
主な食べ方
水に浸してからお湯で煮てアクを抜き、煮物や鍋などに使う。味や香りが無いため他の食材を邪魔しないのに加え、料理の旨味やだしがよく染み込み、独特の食感も楽しめることから、各家庭で様々な調理方法で親しまれてきた。
一般的な料理は、醤油、酒、みりん、砂糖で味付けした「煮しめ」だが、近年は、煮込んで味付けした凍みこんにゃくを、唐揚げや天ぷら、フライ、グラタンなどにしたり、味付けしていないものをお吸い物の具や卵とじにしたりするなど、新たな調理法も考案されている。
アレンジレシピ:凍みこんにゃくのきんぴら
材料
凍みこんにゃく
100g
にんじん
20g
しょうが(みじん切り)
少々
ごま油
小さじ1
A しょうゆ:小さじ1 酒:小さじ1 みりん:小さじ1 砂糖:小さじ1/2
赤とうがらし(輪切り)
少々
白炒りごま
少々
作り方
凍みこんにゃくは裏面通りに戻しておく。にんじんはマッチ棒状に切る。
鍋にごま油を熱してしょうがを香りが出るまで炒め、1を入れ、にんじんがしんなりするまで炒める。
Aを加え、水分をとばしながら味をからめ、赤とうがらしを加えて、サッと炒めて火を止める。
器に盛り、ごまをふる。