塩辛(しおから)
宮城県塩辛(しおから)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
魚介類、塩
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主な伝承地域
三陸地域
食品概要(特徴・種類)
青森県南部から岩手県沿岸、宮城県東部まで、約600kmにも及ぶ日本有数のリアス式海岸が続く三陸海岸は、古くから「世界の三大漁場」の一つと言われ、豊富な魚介類を取ることができる。海と山が複雑に入り組む地形には、長い年月をかけて降り注いだ雨水が地中深くに浸透し、ミネラル豊富な水として内湾に流れ込み、沖では寒流と暖流が交わることで栄養豊かなプランクトンが育つ。そうした恵まれた環境のおかげで三陸沿岸の港では、気仙沼のサメ(フカヒレ)、石巻のかつお、牡鹿のかきをはじめ、さんま、さけ、いか、ホヤ、アワビ、ウニ、のり、ワカメなど数え切れないほどの水産物が水揚げされる。
そうした豊富な水産物の保存を目的として生まれたのが塩辛である。
水産物の身や内臓を塩に漬けて発酵させることで長期の保存と独特の風味を生み出している。似た食品として酒盗があるが、酒盗は水産物の内臓と塩のみで長期熟成させるのに対して、塩辛は身と内臓を使用する点が異なる。海の幸に恵まれた宮城県では、いかをはじめ、かつお、ホヤ、ウニなど様々な塩辛が作られ、地元の人たちだけでなく、全国の人達に食されている。
歴史・文化、関連行事
東京家政大学の藤井建夫教授によると、塩辛の起源については、平安時代の書物に記載があるが、おそらくそれよりも前から魚介類を保存するための手段として塩漬けにしたのが始まりと考えられている。豊富な水産資源に恵まれた宮城県では、昔から各家庭で独自の塩辛が作られ、食べられていた。
元々は10~20%程度の塩分濃度で作られるのが普通だが、最近では消費者の低塩志向や保存・流通技術の発達もあり、塩分濃度が5%程度のものも増えてきた。
製造方法
魚種によって詳細は異なるが、適当な大きさに切った新鮮な身と内臓を塩で漬け込むことで塩辛は作られる。
いかの塩辛は、製造方法により、「赤作り」「白作り」「黒作り」の3種類がある。「赤作り」はいかの切り身に内臓と塩を加えて熟成されたもので、最も一般的に流通している。「白作り」は皮を剥いだいかの身を使用したもので、西日本で好まれている。製造の際にいか墨を加えたものは「黒作り」と呼ばれ、主に福井県で作られている。
宮城県では、明治時代から養殖が始まり、日本一の生産量を誇るホヤの塩辛が有名である。宮城産の真ホヤの旬は5~8月で、肉厚な身と甘み、磯の香りが特徴である。鮮度が落ちやすく、時間が経つと臭みやエグみが出やすいため、産地だからこそ味わえる食材であり、新鮮なうちに加工されたホヤの塩辛は宮城県を代表する伝統食である。
保護・継承の取り組み
宮城県の水産加工業は、古くから有力な地場産業の一つとして発展してきた。東日本大震災により生産量は大きく落ち込んだが、復旧・復興が進み、2021年には多くの品目で全国上位の生産量にまで回復している。
塩辛をはじめとする宮城県の水産加工品の販路を拡大するための見本市や商談会の開催、展示会への出展、消費拡大に向けた定期的なイベントや販売店でのキャンペーンの開催、宮城県民の関心を高め、魚食を広めていく料理教室の開催など、様々な取り組みを行っている。
主な食べ方
塩辛はご飯のお供やお酒のつまみとして食されることが一般的だが、鍋や煮物に加えるなど調味料として使われることも多い。最近では、アンチョビ代わりにパスタに加えるなど、洋風の料理にも重宝されている。