白瓜漬け(しろうりづけ)
発酵食品
三重県白瓜漬け(しろうりづけ)
分類(大)
農産
分類(小)
漬物
主な使用食材
白瓜、味噌、醤油、しそ、だいこん、しょうが、なす、にんじん
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主な伝承地域
伊賀市、名張市
食品概要(特徴・種類)
白瓜漬けは、伊賀盆地の夏の特産品である白瓜を使った伝統的な漬物。白瓜の芯を抜き、そこにだいこん、しょうが、しそなどの野菜を細かく刻んで詰め、味噌やたまり醤油に漬け込む。白瓜の収穫期である夏に作り始め、保存性を高めるため長期熟成させる。
瓜の中をくり抜き、その中に具材を詰めた漬物は一般的には「鉄砲漬け」と呼ばれるが、伊賀地方では「伊賀漬け」と呼ばれている。商品としては「養肝漬」「伊賀越漬」があり、それぞれ作り方と味わいが異なる。
「養肝漬」はたまり醤油で1~2年熟成させる。一方、「伊賀越漬」は大豆と米のどちらにも麹をつけ熟成させた「玉味噌」と醤油で2週間程度漬け込んだもので、現代のニーズに合うようにうす塩風味に仕上げた漬物である。
歴史・文化、関連行事
伊賀地方では昔から、夏に採れた白瓜を自家製の玉味噌に漬け込んで保存食として食べていた。日常的に食べるものではなく、お客があった際のもてなしの一品として出された。
17世紀頃、伊勢津藩主・藤堂高虎が伊賀上野城に、武士の士気を養うための陣中食として常備したという伝承がある。今日に伝わる「養肝漬」という名称は、武士の士気、つまり「肝」を養う漬物という意味合いから名付けられたとされている。伊賀の忍者が携帯食としていたとも言われている。
今日では家で漬けることは少なくなり、慶応元年(1865年)創業の宮崎屋の「養肝漬」と、明治6年(1873年)創業の伊賀越の「伊賀越漬」が、伊賀の白瓜漬けの伝統を受け継ぎながら、それぞれの味を守り続けている。
なお、宮崎屋の「養肝漬」は、南極観測隊が持っていったことでも知られている。
製造方法
白瓜の頭の部分を輪切りにし、芯を抜く。中に塩を入れ、外側も塩で揉んで、水気が取れるまで天日干しにする。乾いたら、抜いた芯の部分に、味噌を詰め込む。その際に、しょうが、しその葉と実、なずやにんじんなどを細かく刻み塩揉みしたものを混ぜ込む。その後、最初に切り取った瓜の先端部分を蓋とし、串を中心部に差し込んで止める。これをたまり醤油や味噌に漬け込んで、発酵・熟成させる。
保護・継承の取り組み
県内の企業である「宮崎屋」および「伊賀越」は、それぞれ「養肝漬」と「伊賀越漬」の製造・販売を続けている。伊賀地域の農家が契約栽培した白瓜を使用し、伝統の技法を継承しながら、時代に合わせた改良も重ねている。また、両製品は地域のブランド「IGAMONO」に認定され、伊賀を代表する伝統食として積極的にPRが行われている。
主な食べ方
白瓜漬けは、そのままでも風味豊かな一品として楽しめるが、薄く輪切りにしてお茶漬けにしたり、刻んで温かいご飯にまぶしたりすると、白瓜漬け特有の味わいがさらに引き立つ。