酒盗(しゅとう)
発酵食品
高知県酒盗(しゅとう)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
かつおの内臓
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
かつおの消費量が全国1位である高知県では、その身だけでなく内臓まで余すところなく食す文化がある。その代表格が、かつおの内臓(胃や腸など)を塩に漬け込んで発酵、熟成させた酒盗(しゅとう)である。かつおの旨味がぎゅっと詰まった珍味で、少なくとも300年以上前から食されてきた。最近では和製アンチョビと呼ばれることもある。
似た加工食品に塩辛があるが、一般的な塩辛には魚介類の内臓に加え身も使われるのに対し、酒盗は内臓のみを使うという違いがある。また、酒盗の方が漬け込む期間も長く、塩辛は一般的に10~20日程度だが、酒盗は10~13か月である。
かつおには旨味成分であるイノシン酸が多く含まれ、また、発酵させることで旨味成分であるグルタミン酸も増えるため、濃厚でおいしい味わいが楽しめる。塩漬けであるため塩分が高くなるが、塩分を控えめにした商品も販売されている。
歴史・文化、関連行事
酒盗が作られるようになったのは、かつお節の製造法が改良された延宝年間頃(1673~1681年)と推定される。高知県の他、かつおの産地である静岡や鹿児島でも作られているが、名前は高知県で命名されたと考えらえる。土佐藩の12代藩主・山内豊資(やまうちとよすけ)が土佐清水の宿で酒盗を肴に酒を飲んだところ、酒がすすみ、「これを肴にすると酒が盗まれるようになくなる」「酒を盗みたくなるほどうまい」と絶賛したことからその名がついたと言われる。
製造方法
新鮮なかつおの内臓(胃と腸と、その境界付近にある臓器)をよく洗い、塩漬けにし、半年から1年以上かけて発酵、熟成させる。保存性に優れており、商品によっては未開封の状態で製造日から1年間保存可能なものもある。伝統的にはかつおの内臓を原料とするが、メーカーによってはまぐろやまだいなど、かつお以外の魚を用いることもある。
保護・継承の取り組み
塩分濃度を控えめにした「甘口」の酒盗が作られるなど、現代の食生活に合うように商品開発が行われている。また、近年はかつお以外の魚介を使った酒盗や、唐辛子や柚子を加えた酒盗などの加工品も開発され、さまざまな酒盗を楽しむことができるようになっている。
主な食べ方
そのまま食してもおいしいが、クリームチーズとの相性が抜群。酒のつまみに最適だが、ご飯も進む。また、パスタやピザ、炒め物に隠し味として加えるなど調味料にもなり、多彩なアレンジが楽しまれている。