蘇(そ)
奈良県蘇(そ)
分類(大)
畜産
分類(小)
畜産加工品
主な使用食材
牛乳
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
奈良市、橿原市
食品概要(特徴・種類)
蘇とは、古く飛鳥時代につくられ始めた、牛乳をおよそ1/10の量に煮詰めて固めた畜産加工品である。当初は保存がきき、ミネラル、ビタミン不足から起こる疾病の治癒や体力回復になくてはならぬ薬餌(やくじ)として利用されていた。古代チーズとも言われる。キャラメルのような色をした、乳糖の甘さを感じる素朴な味の食べ物である。
歴史・文化、関連行事
孝徳天皇時代(645~654年)、渡来人により牛乳が献上され、日本での飲用が始まった。中国の医学書により牛乳や乳製品の薬餌等の効用は上流階級に浸透し、乳牛の飼育と搾乳を行う「乳戸(にゅうこ)」という役職がつくられ、「典薬寮(てんやくりょう)」という医療関係の品部(組織)に所属していた。
牛乳からつくられる蘇が初めて記録に登場するのは古代の法典である『延喜式(えんぎしき)』や政務運営に関する事例を掲げた『政事要略(せいじようりゃく)』であり、それらには、各地で蘇をつくり宮中に納めさせる制度である『貢蘇制度』についての記載がある。
蘇は貴族や官人など身分の高い人々しか食せない高級食材で、集められた蘇は正月に行われる宮中の仏教行事に供物やお布施として利用されたり、正月の祝宴では蜜と甘栗とともに酒の肴(さかな)あるいは点心(菓子)として利用されたりした。
また、美容や病に良いとされ、藤原道長が51歳で大病を患った時には、蘇と蜜を合わせた「蘇蜜煎」を服用したと言われている。
1987年に奈良国立文化財研究所の飛鳥資料館で再現したのをきっかけに、奈良県の西井牧場が商品化に成功。現在ではいくつかのメーカーにより製造されている。
製造方法
牛乳をごく弱火で焦げないように7~8時間煮る。牛乳がおよそ1/10の量になるまで煮詰め、粘度の高くなったものを木型に流し込み、冷蔵し固める。
保護・継承の取り組み
1987年に奈良国立文化財研究所の飛鳥資料館で再現したことで商品化され、認知が進んだ。現在ではいくつかのメーカーにより商品化がされており、その歴史や味を伝えている。
主な食べ方
そのまま食す以外に、ケーキやソフトクリームなどのスイーツや、食事に添えて提供されることもある。