豆腐の味噌漬け(とうふのみそづけ)
熊本県豆腐の味噌漬け(とうふのみそづけ)
分類(大)
農産
分類(小)
豆類加工品
主な使用食材
豆腐、味噌、砂糖
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主な伝承地域
八代地域、五木地域、五家荘およびその周辺地域、球磨地域
食品概要(特徴・種類)
豆腐の味噌漬けは、豆腐の水気をよく絞り、塩分濃度が高めの味噌に漬けたり、砂糖をまぶして味噌に漬けたりしてつくられる。豆腐を常温で長期保存できるようにしたもので、硬めの豆腐が用いられた。これらの地域では独自の豆腐がつくられており、八代市坂本町鮎帰(あゆがえり)地区でつくられる「かずら豆腐」は、豆腐を固める工程で重しをかけ水分をしっかり切ってつくる。つたかずら(つる草の総称)で縛ってぶら下げて持っても運べるくらい硬いということからその名が付いた。また、五木の子守唄で知られる五木村では「樫の木豆腐」と呼ばれる、大豆を通常の4倍ほどふんだんに使った硬い食感の豆腐がある。「豆腐の味噌漬け」にはこれらの豆腐を使用する。
完成した味噌漬けは薄くスライスして、ご飯にのせたりお酒のおつまみとしてそのまま食べる。半年ほど漬けた豆腐には、うにやチーズのような濃厚な風味がついている。また、もろみを使ってアレンジされた食品も存在する。県内各地でつくられ特産品として市販されている。
歴史・文化、関連行事
豆腐の味噌漬けは、800年ほど前、源氏との戦いに敗れた平家の落ち武者が肥後連山の麓に隠れ住み、つくり伝えたのが始まりと言われている。山岳地帯の五家荘(八代市泉)地域や五木村では昔から、焼き畑でつくった大豆や麦を使った自家製の豆腐や麦味噌がつくられており、鮎帰地区では、盆や正月、冠婚葬祭の際、挽(ひ)き臼や釜のそろっている家を中心に、2軒から3軒の家が一つにまとまって共同で硬い豆腐をつくった。大豆をふんだんに用いた硬い豆腐「樫の木豆腐」などである。それらを使ってつくられた「豆腐の味噌漬け」は、物流の少ない地域、冷蔵庫のない時代において貴重な保存食であり、たんぱく源であった。
製造方法
かずら豆腐:水に漬け柔らかくもどした大豆を挽き臼ですり、水で煮る。これを漉した豆乳ににがりを加え、布を敷いた箱型に流す。水気をとり硬い豆腐をつくるために、箱型に入れた豆腐の上に重し を置く。
豆腐の味噌漬け:豆腐をよく絞り、塩分濃度高めの味噌に漬ける。家庭で味噌床に漬けた場合は、日を追うごとに味が濃くなるので、好みの漬かり具合を見て取り出す。
保護・継承の取り組み
豆腐の味噌漬け(またはもろみ漬け)は、道の駅や物産館、通販などで販売している。かずら豆腐を使ったものは、かずら豆腐そのものをつくる人が少なくなってきているが、発祥の鮎帰地域の生活研究グループや地元の豆腐店がつくっている。
主な食べ方
完成した味噌漬けは薄くスライスしてご飯にのせたり、焼酎などお酒のおつまみとして食す。好みでわさびや醤油をつけてもおいしい。細かく切っておにぎりに混ぜたり、サラダに入れたりと具材としてのアレンジも楽しめる。