津田かぶ漬け(つだかぶづけ)
発酵食品
島根県津田かぶ漬け(つだかぶづけ)
分類(大)
農産
分類(小)
漬物
主な使用食材
かぶ(津田かぶ)
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主な伝承地域
松江市
食品概要(特徴・種類)
津田かぶは江戸時代末期から松江市津田地区で栽培が始まった伝統野菜で、出雲神話の三種の神器の一つの勾玉(まがたま)のような形をしており、上部は赤紫、下部は白い。肉質は柔らかく甘みがあり、主に漬物用として栽培、収穫され、野菜の少ない冬場の保存食として食されてきた。
歴史・文化、関連行事
宍道湖からの有機質を豊富に含んだ肥沃な土壌に恵まれ、天神川の水運を利用した輸送の良さにより江戸時代から津田村は松江藩の菜園場であり、城下で消費される野菜の大部分を賄うほど野菜作りの盛んな地域であった。その地に、江戸時代、参勤交代の際に滋賀県で古くから栽培されていた日野菜かぶが持ち込まれたのが津田かぶの始まりとされている。江戸時代末期に、この地の篤農家立原紋兵衛によって品種改良され、現在の津田かぶの原型となる紋兵衛かぶが生まれたが、その後に栽培地名から津田かぶという名称に変わったとされている。当時から漬物に適し、農家でも町屋でも毎年冬場になると漬物作りが盛んに行われ、その文化は松江の人々に脈々と受け継がれてきた。
製造方法
9月中旬に種をまき、10月中旬まで防除や間引きなどの作業を行い、11月中頃から収穫が始まる。11月中頃から雪が降り始める12月中下旬に、「はで」と呼ばれる米を乾燥させる竹の櫓に干し、冷たい北風に1週間程度さらす「はで干し」が行われる。畑の至るところに緑色の葉と赤紫の身が干される様子は、津田村の冬の風物詩にもなっている。干すことにより、水分を減らし、独特の食感と、旨味の元となる乳酸菌の発酵を促していると言われている。
「はで干し」の後、葉をつけたまま、ぬかと塩で約1週間漬け込むと柔らかい歯触り、旨味と酸味が絶妙な味わいとなる。こうして漬けられた伝統的な津田かぶ漬けは「本漬け」とも呼ばれている。
また、「はで干し」をせずに漬け込む浅漬けはシャキシャキとした食感とみずみずしい甘さがあり、昔は、農家はぬか漬け、町屋衆は浅漬けと言われるほど、好みが分かれていたという記録も残っている。
保護・継承の取り組み
近年、津田かぶの生産者も減り、収穫数も減少しつつある。生産者の高齢化も顕著となり、近年では漬物業者が収穫作業の支援を行うケースや、漬物業者の中には中海干拓地を利用し、自社農園で栽培する動きも見られる。
漬物業者が中心となり、津田かぶ漬けの認知を上げていく活動も行われ、進物用として全国からの注文も増え始めている。
主な食べ方
漬物として普段の食卓で日常的に食されている。ぬか漬けの他、浅漬け、甘酢漬けなど多様なバリエーションが増えている。また、お茶漬けに添えるなど、新しい食し方も広がっている。