十六島のり(うっぷるいのり)
島根県十六島のり(うっぷるいのり)
分類(大)
水産
分類(小)
海藻製品
主な使用食材
のり
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主な伝承地域
出雲市十六島町
食品概要(特徴・種類)
「十六島」と書いて「うっぷるい」と読む。島根半島西部、出雲市十六島町の海岸に突き出した岬は、大岩石や奇岩が林立し、日本海の荒波にもまれ、山陰屈指の海岸美と言われている。十六島のりは、この海岸線で12~2月頃までの短い期間のみ取れる岩のり。生産者は20軒以下で、生産量は年間1tにも満たず、その9割が県内に出荷され、県外ではなかなか味わうことができない高級海苔である。日本海の荒波の中で育ち、磯の風味が際立ってシャキシャキとした歯応えが特徴である。
十六島の語源は、海藻を採って打ち振るって日に乾す「打ち振り」がなまったという説、「湾曲の多い入江」という意味の朝鮮語の古語からという説、海苔を採る「のり島」の数が16あったことから「十六島」の漢字をあてたという説など数多くの説があるが、はっきりとしたことは分かっていない。
また、島根県は日本海の豊富な水産資源に恵まれ、十六島のり以外にも隠岐島の岩のりなど磯の香り豊かな海藻類を収穫することができる。
歴史・文化、関連行事
十六島は古くから良い海苔が採れる場所で、奈良時代に書かれた「出雲国風土記」にも記述が見られ、奈良・平安時代から貢納品として朝廷に納められていた。江戸時代には、当時の松江藩主・堀尾忠晴から幕府の要人に贈答品として贈られていたことを示す資料も見つかっている。
昔から厄や邪気を祓う食べ物として重宝されており、地元では正月に雑煮の具として食べるのが習慣となっている。
製造方法
海苔の胞子は波がかかる岩場につき、日本海の白波が立つような荒波の中で育つ。十六島のりの漁師は「しまご」と呼ばれ、その家が代々引き継ぐ採取場「のり島」で海苔漁を行う。海面に向け傾斜する岩場で、押し寄せる高波と海苔のぬめりに注意しながら岩場で身をかがめて手摘みで海苔を剥ぎ取る作業は、波と風にさらされながらの非常に過酷な仕事である。
保護・継承の取り組み
元々採れる時期が短く生産量も少なかったため、地元の人でも口にする機会は多くはなかったが、近年は温暖化など生育環境の変化もあり、ますます希少になっている。
そうした中、出雲市では古くから伝わる郷土料理を子どもたちに伝えていくため、1月の給食に十六島のりを使った「のりふで」をメニューとして出している。「のりふで」は、正月や初午祭に振る舞われる料理で、汁の中の十六島のりを箸で持ち上げると筆先のようなることから名付けられたといわれている。
また、島根県では、十六島のりなど高品質かつ希少性の高い県産品の認知向上と消費拡大を目指し、首都圏でのPRや販路拡大に努めている。
主な食べ方
乾燥させた十六島のりは、雑煮などすまし汁の具材として食することが多い。他にも天ぷらや茶碗蒸しの具材、お茶漬けにのせたり蕎麦の薬味として幅広く楽しむことができる。
十六島のりを使ったつくだ煮も、ご飯のお供や酒のつまみとして昔から食されている。近年では、十六島のりのつくだ煮をソースとしてパスタに和えるなど和食以外の料理の素材としても注目され始めている。