うるか
発酵食品
島根県うるか
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
あゆ
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主な伝承地域
県西部(高津川流域、匹見川流域)
食品概要(特徴・種類)
うるかとは、鮎を使った塩辛のことで、清流に生息する良質の苔を食べて育った鮎を塩のみで漬け込んだ珍味である。
「川魚の女王」と呼ばれる鮎は、水のきれいな川の中流域に住む、河川漁業で最も重要な魚と言われている。島根県西部を流れる高津川は、2007年、2008年と続けて国土交通省の水質調査で全国の一級河川の中で第一位に選ばれた清流である。島根県吉賀町を水源とし、津和野町、益田市を経由して日本海へ注ぐ高津川は、一級河川としては珍しいダムのない河川である。ダムによって貯水されないため、絶えず新鮮で豊富な水量によって川底が洗い流され、良い鮎が育つのに欠かせない良質な苔が育つ環境を作り出している。新鮮で良質な鮎は、ほのかにスイカのような香りがするため「香魚」とも呼ばれている。明治時代の弁士・徳川夢声は、高津川の鮎のあまりのおいしさに「これはこれ日本一の鮎どころ」と称賛したと言われている。
珍味うるかは、こうした日本一の清流で育った極上の鮎だからこそ楽しめる味である。
歴史・文化、関連行事
古文書「益田家文書」の中に、1568年、益田の領主である益田藤兼・元祥父子が毛利元就の居城吉田郡山城を訪れ、莫大な贈り物と共に料理を振る舞ったと記録されている。その献立の中に鮎やうるかが含まれており、その産地は高津川、匹見川だと推測されている。
製造方法
鮎は秋に孵化し、流れに乗って海へと出ていく。翌年3~5月、5~10㎝に成長した鮎が再び遡上して、川底の石についた苔を食べながら成長を続けていき、5~6月の解禁日を迎える。
新鮮な鮎のはらわたと塩のみで3年以上じっくりと寝かせた「生地うるか」と、はらわたと身に塩を加えてまろやかな味に仕上げた「身うるか」がある。それぞれ苦み、渋み、旨みが異なり、食べる人の好みで選ぶ楽しさがある。
保護・継承の取り組み
高度経済成長期、治水と利水を目的にした河川改修工事によって鮎の生活に最も重要である洲や瀬が消失し、ほとんどの河川で資源維持のために放流鮎に頼らざるを得なくなってしまった。しかし、全国的に大量に鮎を放流しても昔に比べると鮎の資源量は減少していく一方で、ますます河川環境の保全と改善が重要になっている。島根県では、高津川漁業協同組合が中心となって鮎漁に関する細かいルールや禁漁期間を設けたり、定期的な河川一斉清掃の実施、鮎釣りファンへの啓蒙などを行ったりして、河川環境の保護活動に取り組んでいる。
また、島根県では「しまねの鮎づくりプラン」を策定し、高津川での健全な鮎資源の確保に取り組んできた。中でも、遺伝的多様性保全の観点から高津川地場産の稚鮎の放流をすすめ、2010年には100%高津川産の稚鮎の放流を達成した。
主な食べ方
うるかは珍味として有名で、酒の肴として親しまれている。
そのまま食べる以外に調味料として使われることも多く、地元では、夏の家庭惣菜として鮎のうるか茄子がよく食されている。茄子の煮物の仕上げにうるかを加えて味を調えることで、夏らしい一品として楽しむことができる。