ウツボのたたき(うつぼのたたき)
高知県ウツボのたたき(うつぼのたたき)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
ウツボ、玉ねぎ、りゅうきゅう、大葉、みょうが、酢、醤油
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主な伝承地域
土佐市、須崎市、中土佐町
食品概要(特徴・種類)
高知県ではウツボを様々な調理法で食すが、その中でも最も代表的な料理がウツボのたたきである。表面をさっと焼くかつおのたたきとは異なり、身の中まで十分に火を通し、二杯酢をかけて食べる。
ウツボは海のギャングと呼ばれるほど獰猛で鋭い歯を持ち、見た目もグロテスクな魚であるが、その見た目とは裏腹に、独特の弾力と上品な甘みが特徴だ。秋から冬にかけてが旬で、この時期のウツボには特に上質な脂とコラーゲンたっぷりで旨味が凝縮されている。
表面の独特のぬめりと全身に密生する小骨のため、おいしく食べるためには熟練の職人による技術が必要不可欠だった。ところが、1980年代半ば頃に高知市内の料理店が骨を捌く技術を開発したことで、商品化が進み、県内各地でより盛んに食されるようになった。
歴史・文化、関連行事
ウツボは秋の神祭に「これがないとおきゃく(宴会)にならん」と言われるほど、土佐市、須崎市、高岡郡中土佐町では古くから食されており、土佐市が発祥の地として有力であると伝えられている。現在ははえ縄漁での捕獲が一般的であるが、その昔、竹籠でウツボ漁をするようになったとき、土佐市では籠が手に入らず、須崎市まで出向いて注文するようになり、ウツボ料理が広まったようだ。
グロテスクな容姿からも察することができるが、昔は下の魚として、値段も安く、一部の地域でしか食されていなかった。ところが、身のしまりがよく皮までおいしいことから、次第にそのおいしさが評判となり、あっという間に高級魚の仲間入りを果たす。ウツボが高知市内の鮮魚店に出回り、料理店でも仕入れるようになったのは、昭和30年代からである。家庭では到底捌けない魚のため、専門の技術を持った職人が小骨を取り除いてくれたものを買い求めるのが一般的。ウツボはそのおいしさだけでなく、滋養食品としても優秀で、良質なタンパク質やカルシウム、鉄分などが多く含まれている。そのため、高知では昔から病人や産後の肥立ちに必ず食していた。
製造方法
特有のぬめりと大量の大小の骨が入り組んでいるため、専門の技術を持った職人によって捌かれる。ウツボの肛門から上の身をたたきや刺身に、下の身をから揚げや煮こごりにする。水産加工品業者では、たたきは身の中まで焼いたのち、スライスしたものを真空パックにして冷凍し、解凍するだけで食せるようになっている。
保護・継承の取り組み
高知市内の居酒屋や飲食店では、たたきだけではなく様々なウツボ料理を味わうことができる。また、ウツボ料理研究所では代表自らがウツボを捌きその魅力を伝える活動を行ったり、冷凍水産物の加工・卸販売業者では各自ウツボのたたきを商品化して全国から購入できるよう取り組んでいる。
主な食べ方
ウツボの切り身を皮つきのまま薄塩をし、中まで火が通るように両面を焼き、薄い平造りにする。薄切りして水につけたたまねぎ、りゅうきゅう(はす芋の葉柄の部分)を敷いてウツボをのせ、千切りにした大葉とみょうがをのせて、二杯酢をかけて食する。
皮つきのウツボを薄切りにして千切りにしたにんじんとしょうが、調味料とともに煮たのち、溶き卵とねぎを入れて冷やして作る、ウツボの煮こごりも親しまれている一品。