公魚の甘露煮(わかさぎのかんろに)
茨城県公魚の甘露煮(わかさぎのかんろに)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
公魚、醤油、砂糖、酒
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主な伝承地域
霞ヶ浦北浦(行方市)
食品概要(特徴・種類)
霞ヶ浦は、湖面積が220.0㎢と琵琶湖に次いで日本で2番目に大きな沼湖で、古くからわかさぎやしらうお、えび等の豊富な水産資源に恵まれてきた。中でも、霞ヶ浦北浦で収穫されるわかさぎは、1995年に、茨城県の美しい海や川と水産業への理解を深めることを目的に「県のさかな選定委員会」が設置され、「旬のさかな」の候補を選定し、その中からわかさぎが「県の淡水魚」に選ばれている。かつては自然の風を推進力とする帆びき網漁業により漁獲され、当時を知る人によると湖上に浮かぶ数百の帆びき船は壮観だったと言われている。1967年に漁業効率の良い底引き網漁に移行してからは、観光操業として帆引き船を見ることができる。他県の主要産地では主に秋に解禁となることから冬のイメージが強いわかさぎだが、霞ヶ浦北浦では全国に先駆けて7月21日に解禁されることから、茨城ではわかさぎは夏の味覚として親しまれている。特に脂の乗った7~8月に獲れた初物のわかさぎは「ナツワカ」と称され、地元の人たちに珍重されている。
解禁時の体長は6㎝ほどだが、12月頃には12㎝を超える大きさに成長。プランクトンが豊富であることから他の地域に比べて成長が早く、大きくなるのが霞ヶ浦北浦のわかさぎの特徴でもある。骨も柔らかく、丸ごと味わうことができるわかさぎは、焼いたり揚げたりと色々と加工されて食されているが、醤油で甘辛く煮付けられた公魚の甘露煮は茨城を代表する伝統食として古くから愛されている。
歴史・文化、関連行事
わかさぎは、漢字では「公魚」と表される。これは江戸時代に麻生藩の藩主が徳川家にわかさぎを献上したところ、大変喜ばれ、それ以降献上が続けられるようになり「御公儀の魚(徳川家御用達の魚)」とされたことに由来している。
霞ヶ浦北浦周辺での水産加工の歴史は古く、江戸時代末期から製造が始まったと言われている。わかさぎ、しらうお、えび、はぜなどの漁獲物は、つくだ煮などの伝統的な加工品の原料として利用され、地域を代表する特産品として県内はもとより全国各地の消費者から広く親しまれている。
製造方法
新鮮なわかさぎをそのまま、醤油、砂糖などで煮付ける。全体に火が通ったら弱火にし、煮汁がなくなるまで煮詰めていく。わかさぎは柔らかいので煮崩れを防ぐためにあまり混ぜないよう気を付ける。
保護・継承の取り組み
地域の食品スーパーや道の駅などで日常的に販売されている。
茨城県では、低迷が続いているわかさぎ資源について、その回復を図るため水産関係者と協議の上、2006年に「霞ヶ浦北浦地区ワカサギ資源回復計画」を作成した。関係者による検討会の開催、幼稚魚の混獲の防止、安定供給の目標設定などに取り組んでいる。
主な食べ方
骨まで柔らかく煮付けてあるので、そのまま丸ごと食べることができる。ご飯のお供や酒の肴、お茶請けとして、子供から大人まで広く食されている。