わかさぎの甘露煮(わかさぎかんろに)
山梨県わかさぎの甘露煮(わかさぎかんろに)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
わかさぎ、しょうが、酢、醤油、酒、砂糖、みりん
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出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
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主な伝承地域
山中湖村
食品概要(特徴・種類)
海には面していない山梨県だが、富士北麓地域には本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖からなる富士五湖があり、淡水魚の宝庫。わかさぎもそのうちの一つで湖畔地域の人々は、頭の先からしっぽの先まで余すことなく食べられるわかさぎを、タンパク質やカルシウムなどを摂取するための栄養源として食してきた。
季節を問わず漁獲できるうえ、山梨のわかさぎは清澄な湖水で育つため泥臭さが少なく、多くの人に好まれた。とくに甘くて贅沢感があり、しかも日持ちのする甘露煮はご飯のお供や酒肴として人気が高く、旅行客の土産品や地域の人々のちょっとした手土産にも使われる。
歴史・文化、関連行事
元々、富士五湖にわかさぎは生息していなかった。山梨市出身の故雨宮育作氏が東京帝国大学大学院の学生だった1919(大正8)年に新たな魚種を繁殖させようと、茨城県霞ケ浦産のわかさぎの卵を山中湖と河口湖に試験放流したのが始まり。それらが繁殖を繰り返し、別の湖への放流も行われ、生息数を増やしていった。
1930年代には氷上穴釣り、2000年代には暖かい船内で釣りを楽しむことのできるドーム船が導入されるなど、釣りというレジャーと結びつき、生体数を減らすこともあったが、漁協関係者がふ化装置を導入するなど、さまざまな策を講じてわかさぎを維持し続けた。湖周辺で観光客をもてなすレストハウスでは、食事処でわかさぎ料理がふるまわれ、土産物コーナーには甘露煮をはじめ、さまざまな加工品が並ぶ。
製造方法
皮をむいたしょうがを好みの太さの千切りにしておく。わかさぎはさっと洗って水気を切り、250℃のオーブンで10分を目安に素焼きする。素焼きをすることで香ばしさが加わり、煮崩れもしにくくなる。深めの鍋(フライパンがつくりやすい)に調味料(酒、醤油、砂糖、みりん)を煮立たせ、温度を下げないよう少しずつ素焼きしたわかさぎを入れる。千切りにしておいたしょうがを加え、わかさぎの煮崩れを気にしながら鍋を傾けるなどして煮汁がなくなるまで煮詰める。煮あがったら広い器に広げて、素早く粗熱をとる 。
※煮あがる寸前に酢をふりかけると、生臭さを消す効果がある。
保護・継承の取り組み
稚魚の飼育方法などの見直しを行うほか、禁漁期を設けて増殖を図り、わかさぎの生息数を保っている。
また、山中湖周辺で「わかさぎプロジェクト」が立ち上げられ、地域の資源としてのわかさぎの価値を高める活動が広がりを見せるなか、わかさぎの甘露煮などの伝統的な加工品だけでなく、わかさぎをオイル漬けにしたアンチョビ風の瓶詰やわかさぎを粉末にしたエナジーバーなど、パッケージにもこだわった新たな商品開発が行われている。
主な食べ方
ご飯のお供や酒肴としてそのまま食べられることが多い。