焼畑あつみかぶ漬(やきはたあつみかぶづけ)
山形県焼畑あつみかぶ漬(やきはたあつみかぶづけ)
分類(大)
農産
分類(小)
漬物
主な使用食材
焼畑あつみかぶ、酢、砂糖、塩
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主な伝承地域
鶴岡市一霞地区(旧・温海町一霞)
食品概要(特徴・種類)
焼畑あつみかぶとは、温泉の町・鶴岡市温海地域で400年以上前からつくられてきた赤かぶのこと。原始的な焼畑農法により無農薬・無肥料で栽培されるこのかぶは、外皮は暗紫色だが、果肉は白。主に漬物に加工され、最近は甘酢漬けにされることが多い。漬け込むと酢に反応するアントシアン色素の働きで、全体が美しいピンク色になる。皮の柔らかさと、かたくしまった果肉のシャキシャキとした食感、ほのかな甘みが特徴だ。
山林伐採後、7月に斜面の下草を刈り、8月の旧盆を目安に斜面全体に火を入れ、焼きおろすように火を誘導して山を焼く。そして地面がまだ熱いうちに種をまき、あとは間引きをするぐらいで、とくに手をかけず、9月下旬以降に大きく実ったものから順番に収穫される。火山灰性の温海地域の土壌はもともとカルシウム・カリウム・ナトリウムが豊富だが、焼畑によりさらにミネラルたっぷりの土になり、雑草が除去され病原菌も焼けてしまうため、無農薬栽培が可能となる。
歴史・文化、関連行事
鶴岡にはほかにも焼畑で栽培される在来のかぶがあるが、あつみかぶは最も古い歴史を持つ。『松竹往来』(1672(寛文12)年)に「温海蕪」の記述で庄内・温海地域の産物として紹介されており、これが最古の記録といわれる。また、1785(天明5)年にはあつみかぶ100個を徳川幕府に献上したとの記録が残るほか、庄内藩の特産物として高値で取引されていたとの記載もあり、古くからの地域ブランドであったことがうかがえる。
あつみかぶの漬物は、庄内地域では大黒さまのお歳夜や年越し、正月などの冬の行事食に欠かせない一品。旧温海町の一部地域では現在も11月10日(以前は旧暦10月10日)に「かぶの歳夜」という収穫祭が行われ、かぶの成長を祈念するとともに、家の株がますます上がるよう、自家で穫れた赤かぶと大きなぼたもちが神さまに供えられる。
なお、あつみかぶが甘酢漬けにされるようになったのは、昭和40・50年代以降のこと。以前は塩と味噌、麹や柿の皮などを加え、あば漬けにして食べられていたが、あば漬けは乳酸菌発酵が進むと酸っぱくなるため美味しく食べられる期間が短く、品質・食味が長期間保たれる甘酢漬けが採用されたという。
製造方法
樽にかぶを入れ、その上から塩、砂糖、酢を全て入れる。かきまぜて重石をし、3日くらいしたら再びかき混ぜる。20日から1ヶ月そのままにしておくと食べ頃となる。
塩水で下漬けをしてから、甘酢調味液で本漬けをする方法もある。
保護・継承の取り組み
毎年10~4月頃、収穫後に漬けられた焼畑あつみかぶの甘酢漬けがスーパーや直販店、インターネット等で販売され、気軽に購入できる。
主な食べ方
切ってご飯のお供に、お茶請けに。酒肴にも好まれる。
アレンジレシピ:焼畑あつみかぶ漬のサラダ
材料
焼畑あつみかぶ漬
60g
グリーンリーフ
4枚
ミニトマト
6個
黄パプリカ
30g
塩・粗挽き黒こしょう
各適量
エキストラバージンオリーブ油
適量
作り方
かぶ漬は薄切りにする。グリーンリーフは食べやすい大きさに手でちぎる。ミニトマトは横半分に切り、パプリカは斜め切りにする。
器に1の具材を彩りよく盛り、塩・粗挽き黒こしょうをふり、オリーブ油をまわしかける。