焼きさば(やきさば)
島根県焼きさば(やきさば)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
さば
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主な伝承地域
雲南市(木次地区、三刀屋地区)
食品概要(特徴・種類)
島根県の面積は約6,708㎢と全国18番目の広さだが、海岸線の長さは1,026kmと全国で10番目の長さである。その海岸線の沖合には黒潮から分かれた対馬海流が北東に向かって流れており、好漁場を形成している。そこは多くの海洋資源に恵まれ、昔から地元の食生活を支えてきた。中でもさばは最も親しまれる海産物の一つで、島根県ではよく食されている。総務省の家計調査によると、2021年の1世帯当たりのさばの年間消費量は、都道府県庁所在地など全国52市の中で松江市が最多で、全国平均の815gを上回る1,336gに上る。
さばは色々な食べ方で食されているが、海とは遠い山間の雲南市で古くから親しまれているのが焼きさばである。雲南市の焼きさばは、一般的に知られる切り身を焼いた物とは異なり、生のさばを一匹丸ごと串に刺し、炭火で焼く伝統的な料理である。そのままおかずとして食べるのはもちろん、焼きさばの身をほぐして混ぜ込んだ「すもじ(焼きさば寿司)」などもよく食されていた。
歴史・文化、関連行事
中国地方の内陸部に位置する雲南市は、出雲地方と広島県を結ぶ交通の要衝として古くから栄えてきた。この地区を経由して日本海沖で水揚げされた海産物が各地へ運ばれることも多かったが、明治以前までは保存技術や運送手段が確立されていなかった。そこで、この地域まで運ばれてきた生のさばを、より遠くの地域まで運べるように焼いたのが焼きさばのはじまりだと言われている。「さばの生き腐れ」と言われるほど傷みやすいさばを保存のきく食品に加工した焼きさばは大衆文化から生まれた生活の知恵であり、山間部に暮らす人々にとってたんぱく質を補う重要な栄養源であった。
昭和初期、残った焼きさばの身を酢飯に混ぜ込んだ「すもじ」は雲南市の田植えに欠かせないごちそうであった。隣近所の手を借りて行う農作業の合間のもてなし料理として振る舞われていた。
製造方法
さばを背開きにして、内臓とエラを取り除き、串を打つ。炭火で20分から30分程度、炭火に霧吹きで水をかけて火力を抑えながら、じっくりと焼いていく。
「すもじ」は、焼き上がったさばをほぐして骨を取り除き、冷ましておいた酢飯に煮付けた干し椎茸、竹の子、かんぴょう、水ふき、山椒などと一緒に混ぜ込んでいく。仕上げに錦糸卵と焼きのりを振りかけて完成する。
保護・継承の取り組み
現在も市内には焼きさば専門店があり、飲食店や惣菜店でも購入することができる。
焼きさばの身をほぐして酢飯に混ぜ込んだ「すもじ」は、農繁期だけでなく家庭料理として定着していたが、1990年代ごろから観光資源として注目されるようになり、郷土料理としての認知度を高めていった。
また、市内の学校では、雲南市の味として給食のメニューにも「すもじ」が取り入れられている。
主な食べ方
主に身をほぐし、醤油をつけて、ご飯のおかずとして食べる。
焼きさばを使った「すもじ」や、焼きさばをそのまま使った棒鮨や太巻きなどの楽しみ方もできる。