山梨の乾燥野菜(やまなしのかんそうやさい)
山梨県山梨の乾燥野菜(やまなしのかんそうやさい)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
乾燥野菜
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主な伝承地域
北杜市・早川町(干し大根)、甲斐市(やはたいもの干しずいき)、鳴沢村(じゃがいもの凍み芋)、市川三郷町大塚地区(大塚にんじんの乾燥野菜)、北杜市明野町(明野金時の干し芋)、山梨県全域
食品概要(特徴・種類)
冬の厳しい寒さを生かし、山梨県ではさまざまな野菜が寒風に干され、保存食として備蓄・利用されてきた。
八ヶ岳の麓の北杜市は、寒干し大根づくりが盛んな地域。厳寒の時を迎えると、秋に収穫して保存しておいた大根の皮をむき、輪切りや細切りなどにして天日に干す。これらは水で戻し、主に煮物に使われる。朝霧にあたることでアクが抜け、甘みが増す浅尾大根もまた縦四つ割りの割干し大根に加工され、八ヶ岳下ろしに吹かれることで元来のうま味を濃縮。幅広く料理に使われている。なお、早川町の寒干し大根は、輪切りにした大根をゆでてから干すのが大きな特徴。篠竹の串に刺して干されるが、生を干すより濃い飴色に染まり、食感も異なるという。
ほかにも、種類豊富な乾燥野菜が山梨の食卓を支えてきた。
茎の部分も余すことなく活用されるのは、甲斐市のやはたいもなどの里芋類。軒先に干され、干しずいきとなって酢の物やきんぴらなどの常備菜に姿を変えるだけでなく、甘辛く煮て、古くから冠婚葬祭などで食べられてきた太巻きずしの芯に使われる。一方、高地にある鳴沢村ではじゃがいもを丸ごと凍らせ、乾燥させてつくる凍み芋が知られており、水で戻して塩ゆでにされるほか、地域によっては粉末にして凍み芋団子などに調理され、長く食べ継がれてきた。この凍み芋は、じゃがいもの原産地とされるアンデス高地の伝統的な保存食、チューニョとほぼ同じ保存法なのだそう。
また、市川三郷町大塚地区のブランド野菜、大塚にんじんも乾燥野菜として販売されることがある。濃く美しい鮮紅色と独特の風味・甘さ、栄養価の高さを持ち、火山灰から作られた土壌〝のっぷい〟の土中で1mほどの長さに育つ。
そして、年間2600時間を超えるという日照時間日本一の北杜市明野町で苗づくりから始めた、栽培されてから日の浅いさつまいも、明野金時は、上品な甘みの干し芋が人気を呼んでいる。
歴史・文化、関連行事
安定的に食料を得るために、乾燥野菜は古くから世界中でつくられており、日本でも奈良時代には塩漬けと並び、すでに干し野菜が存在していたという。
乾燥野菜は保存が利くだけでなく、嵩が減り軽量化も叶うため、戦国時代の兵糧に、江戸時代に入ると庶民にも広く普及し、時折起きた飢饉の際の非常食、あるいは旅食にも重宝された。
なお、耕地として活用できる土地が少なく、寒さが厳しい山梨県では、収穫された産物はそのまま食べられるだけでなく、多く穫れたものを塩や砂糖に漬けたり乾燥させたりと、保存食に加工されるまでが一連の流れとなってきた。
製造方法
寒干し大根:
11月中に収穫した大根を土に埋めて保管しておき、年を越したあたりで(寒くなったタイミングで)掘り起こして皮をむき、料理の種類や合わせる材料によって使い分けられるよう、輪切りや縦切り、細切りなどにカットする。それを一晩水に浸し、翌日、互いに重ならないよう乾燥台の上に並べていく。凍ったり溶けたりを繰り返しながらじっくりと天日で、約2週間乾燥させる。
割干し大根の場合は約2か月、天日に干して乾燥させる。
保護・継承の取り組み
栽培農家等が加工した乾燥野菜は、市内の直売所や道の駅、スーパーなどを中心に販売され、年間通して購入が可能。健康志向の風潮の後押しもあり、自家製の乾燥野菜をつくる家庭も少なくない。
また、乾燥野菜としても人気のあるブランド野菜の浅尾大根や大塚にんじんは収穫時期に、各々の野菜名を冠した祭りや収穫祭が開催され、野菜自体のブランド力強化が図られている。
主な食べ方
水で戻し、煮物や酢の物など好みの料理に仕立てて食す。スープにする際にはうま味の溶け出た戻し汁ごと使うと、いっそう美味しく仕上がる。