吉田のうどん(よしだのうどん)
山梨県吉田のうどん(よしだのうどん)
分類(大)
農産
分類(小)
穀類
主な使用食材
小麦粉、塩水
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主な伝承地域
富士吉田市
食品概要(特徴・種類)
吉田のうどんは、驚くほどの歯ごたえとコシの強さが特徴の、富士吉田市に伝わる手打ちうどん。ほうとうと並び、山梨の粉食文化を代表する伝統食である。
ゆでたたっぷりのキャベツや、馬肉食文化が根付く富士吉田ならではの甘辛く煮た馬肉などをのせ、だしの効いた味噌や醤油、あるいは両方を合わせた汁で食べられる。
また、ごまや山椒、唐辛子等を混ぜ合わせてつくる薬味「すりだね」は各家庭、各店で独自の味があり、吉田のうどんに欠かせない。
歴史・文化、関連行事
富士山北麓に位置する標高700~900mほどの富士吉田市は、冷涼な気候や火山灰土の地質により稲作に不向きだったため、古くから蕎麦や雑穀、富士山の湧き水を利用した水掛麦と呼ばれる水耕栽培で麦作が行われてきた。先人たちの知恵と工夫によって粉物の食文化が醸成されるなか、江戸時代には富士山を信仰する人々の集まり・富士講の参詣客を相手に昼時だけ家屋の一部を開放し、うどんが売られるようになったという。
そして、主力産業の繊維業がいっそう盛んになった昭和初期、主に製糸を担っていた女性たちの手を止めないように、繊細な絹糸に触れる手指が荒れないようにと、行商担当の男性たちが女性に代わって食事を準備するようになり、調理が簡単で腹持ちのよいうどんが好んでつくられた。屈強な男性が力強く生地を練ったことで、「日本一硬い」とも言われる吉田のうどんの歯ごたえとコシの強さが生まれたとされる。
また、家庭料理としての側面がある一方で、長くて白い食べ物であるうどんは長寿や末永い幸福を祈る縁起物とされる。盆や正月、結婚式などの祝いの席で食べられ、今も人が集まるところでは締めくくりにうどんが出されることが多い。
製造方法
小麦粉に塩水を少しずつ加えて混ぜ、ひとまとめにした生地をビニール袋に入れて1時間ほど寝かせる。ビニール袋の上から体重をかけて踏んでこね、再度寝かせたものをさらに踏んで、1cmの厚さにのばしたら台上へ。打ち粉をしながら、のし棒で5mmほどの厚さまでのばし、三つ折りして約5mm幅に揃えて切る。
保護・継承の取り組み
富士吉田市を中心に、県内にはたくさんの吉田のうどんの店があり、県外からも多くの人が訪れる。富士山の湧水で練り上げた生麺や好みの太さに切ることのできる麺ロールなどが各製麺会社で商品化され、スーパーや道の駅、インターネットなどで気軽に購入できる。
また、2008(平成20)年にはゆるキャラ「吉田のうどんぶりちゃん」が誕生し、イベント等に参加して、吉田のうどんの認知度を上げるための活動を行っている。
主な食べ方
ゆでてから冷水でぬめりをとったうどんを、煮干しやかつお節などのだしの効いた味噌や醤油、それらを合わせた汁をはった器に盛り、ゆでたたっぷりのキャベツやごぼう、油揚げ、富士吉田ならではの、醤油、砂糖、酒、みりん等で甘辛く煮た馬肉などを好みでのせて食べる。途中、ごまや山椒、七味などを混ぜ合わせた薬味のすりだねで味変するのは、吉田のうどんの楽しみの一つ。
温かい汁で食すだけでなく、夏などはとくに、冷やしも食べられている。