吉野本葛、葛餅(よしのほんくず、くずもち)
奈良県吉野本葛、葛餅(よしのほんくず、くずもち)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
葛の根
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
吉野地域、宇陀市、吉野町
食品概要(特徴・種類)
吉野本葛は、吉野地域で自生する葛の根からとれるでんぷんを精製しつくられる食用粉「葛粉」であり、葛餅は、葛粉と水、砂糖を鍋で沸かしつくられたものである。葛粉の中でも葛でんぷん100%の葛粉を「吉野本葛」と呼び、品質の高さで知られている。葛餅は、滑らかな口当たりと透明感から涼感を誘い、夏に欠かせないものである。
歴史・文化、関連行事
吉野本葛は、山野に自生する葛の根を原材料とする。葛は、マメ科のつる性多年草であり、秋の七草の一つである。古来、葛の根は漢方薬(葛根湯)として活用され、葉は家畜の飼料として、つるは布の繊維に、花は二日酔いの薬に利用されるなど多くの用途で活用されてきたという。
葛の活用方法は代を重ね、江戸時代中期以降、食用粉である「葛粉」を葛餅として食すようになった。吉野地域は良質な水源に恵まれた寒冷の土地であることを背景に、葛の根の品質が高く、葛粉の精製にも適しているとされ、吉野地域の葛の根でつくられた葛粉が朝廷に献上され賞されたことが評判を呼び、その食文化が根付いた。
その後、茶菓子としても食されるようになり、現在は日本料理や精進料理などで使用されるようになった。洋菓子にも活用されるなど、用途の広がりをみせている。
葛餅以外にも、羊羹や葛切りなど、和菓子になくてはならない材料である。
製造方法
葛の根をすり潰し、水で葛でんぷんをもみ出し、幾たびも水にさらすことで真っ白な吉野本葛がつくられる。幾たびとなく葛でんぷんを水にさらす工程は「吉野ざらし(よしのざらし)」と呼ばれる伝統的な製法である。まず、葛根を砕いて桶に入れ、水でかき混ぜ 、沈殿を待つ。浮いたアクや不純物を取り除き、うわ水を入れ替える。これを10日間かけて繰り返すことで、純白のでんぷん「生葛」ができ上がる。生葛は乾燥棚の上で1か月以上自然乾燥させ水分を抜く。以上の工程に延べ2か月から3か月かかることもある。
吉野本葛に水を加え加熱すると、とろみが出る。吉野本葛、水、砂糖を鍋で沸かし、粘りと透明感が出たところで火を止め、粗熱をとったものが葛餅となる。
保護・継承の取り組み
葛の根を採取する職人の担い手が減少傾向にあることから生産量が減っている。食文化の保護継承を目的に、吉野本葛に関する知識と交流を深めることを目指した出前授業などの活動が行われている。
また、ブランド価値の保護を目的に、原料が葛の根から採取した葛でんぷん100%のものを「吉野本葛」とし、葛でんぷんの使用が50%超のものは「吉野葛」と呼んでいる。
県内製造業者でつくる吉野葛製造事業協同組合が葛の根から採取した葛でんぷんのみを原料として、吉野地方とその周辺地域で製造または加工した葛でんぷんを「吉野本葛」として特許庁の地域団体商標登録を受けている。
主な食べ方
「吉野本葛」は、「葛餅」以外にごま豆腐、葛湯、葛饅頭、葛切り、料理のとろみつけなど、料理やスイーツとして幅広く利用されている。葛餅は、きな粉、抹茶、黒蜜とともに味わうのが一般的だ。
アレンジレシピ:くず湯(1杯分)
材料
本葛
25g
熱湯
180cc大さじ5
砂糖
小さじ1杯程度
作り方
コーヒーカップ等に、本葛・砂糖を入れ、少量のぬるま湯で溶きます。
熱湯を注ぎ、透明になるまでよくかき混ぜます。※ 不透明部分が残る場合は、30~40秒電子レンジにかけてください。より一層透明になり、とろりとおいしく仕上がります。
提供元:株式会社森野吉野葛本舗(TEL:0745-83-0002 Mail:shoo@morino-kuzu.com)
https://morino-kuzu.com/kuzuyu