雪割納豆(ゆきわりなっとう)
発酵食品
山形県雪割納豆(ゆきわりなっとう)
分類(大)
農産
分類(小)
豆類加工品
主な使用食材
大豆、米糀、水飴、納豆菌、食塩
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主な伝承地域
置賜地域(米沢市ほか)
食品概要(特徴・種類)
雪割納豆とは、納豆菌で発酵させたひきわり納豆に塩と米麹を加えて二次発酵させた、熟成・麹納豆。塩辛さのなかに深いコクとうま味をもつ、米沢市を中心とする置賜地域の伝統発酵食品である。
見た目と塩辛さは味噌に近く、ご飯のお供や酒のつまみとしても人気。グルタミン酸など、発酵由来の天然のうま味成分が豊富なため、炒め物などの調味料としても使われる。また、塩分濃度が高く傷みにくいうえ、大豆のタンパク質や米麹の酵素作用によりアミノ酸、ビタミン類、ブドウ糖などを多く含むとあって、スポーツやアウトドア時の、おにぎりの具にも最適だ。
なお、「雪割」とは、長い冬ごもりから解放され、降り積もった圧雪を割って雪解けを促す、雪国ならではの早春の風景。その活気と喜びにあやかり、1956(昭和31)年の発売時に「雪割納豆」と名付けられた。いっとき製造が終了し姿を消したが、新たな継承者によって復活。既存の製品に加え、時代に合った塩分濃度を控えたものや二次発酵の際に唐辛子や新潟・妙高の伝統発酵調味料・かんずりを加えたものなど、新しい製品が続々と誕生し、食べ方の可能性を広げている。
歴史・文化、関連行事
由来は、置賜で江戸時代よりつくられてきた、五斗納豆。度重なる飢饉への備えとして、あるいは4、5月の農繁期に食べる保存食として、各農家が正月のこたつの温もりで発酵させたひきわり納豆に米麹と塩を混ぜ合わせ、春までの長期間、発酵熟成させてつくっていた。山形のなかでも雪深い置賜地域の風土と農家の慣習がうんだ五斗納豆を、1956(昭和31)年に商品化したのが、この雪割納豆だ。
製造・販売を手掛けていた「まるよね食品」が2014(平成28)年に営業を終了し、雪割納豆もいったん姿を消したが、同年中には地元で水産卸を営む佐野水産が新会社「ゆきんこ」を立ち上げ、知識と技術を蓄積した「まるよね食品」の職人とともに、事業を継承した。
製造方法
大豆を炒ってひきわりにし、表皮を取り除いてから浸水させて蒸す。厳密に温度管理された室で発酵させた後、米麹と塩を合わせた塩切り麹をさらに混ぜて樽に重しをのせ、発酵熟成させる。熟成後は低温で保存する。
二度の発酵過程を経ることが、雪割納豆の製法上の特色。この独特の製法が、酵素による大豆のタンパク質、米のデンプン質の分解を促して熟成を進め、アミノ酸等のうま味成分が濃縮した深いコクをもたらす。
保護・継承の取り組み
山形県のやまがた産業技術振興基金による助成金交付事業や、米沢市による「米沢品質AWARD」などの顕彰制度を積極的に利用するほか、大学の研究機関との共同研究などにより、減塩商品など、時代に合った新商品を開発している。首都圏で高付加価値商品を扱うスーパーに卸すなどの販路拡大にも取り組み、インターネットを介したPRや販売も幅広く行っている。
主な食べ方
そのままご飯にのせて食べるのが一般的。大根おろしや刻みねぎ、わさびやからしなどとも相性がよい。また、おにぎりや茶漬けなどの具材に使ったり、卵黄と混ぜ合わせて七味唐辛子や花鰹とともに酒肴として食べられたりする。