紅柿の干し柿(べにがきのほしがき)
山形県紅柿の干し柿(べにがきのほしがき)
分類(大)
農産
分類(小)
その他農産加工品
主な使用食材
紅柿
※ダウンロード可能な画像を使用する場合は「リンクについて・著作権」をご一読の上、
出典を農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」と明記し、ご利用ください。
なお、画像提供元の記載がある場合は画像提供元も併せてご記載ください。
画像提供元の記載例
【画像提供元の記載がない場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
【画像提供元の記載がある場合の記載例】
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
画像提供元:〇〇〇
主な伝承地域
上山市
食品概要(特徴・種類)
紅柿は、原木が今も地内に残るという山形県上山市原産の柿の一種。名前通りの鮮やかな赤橙色に色づく、とくに渋が強いとされる渋柿だ。通常の処理では抜けきらないほどの渋が、日中の日差しを浴びながら蔵王おろしの寒風にさらされることで抜け、優しくも濃厚な甘みを蓄えた、しっとりとした食感の「紅柿の干し柿」へと姿を変える。300年以上前から栽培・製造される、〝天然の和菓子〟とも呼ばれる上山の特産品である。
11月上旬に収穫時期を迎え、それから約1か月、雨を避けつつ程よい陽光と蔵王おろしがうけられる干し場には干し柿が無数に吊るされ、さながらオレンジカーテンのよう。この風景は、上山の初冬の風物詩となっている。
歴史・文化、関連行事
1748(寛延元)年、旧上関根村(今の上山市)の旧家、川口久右衛門の庭に自生し実を結んだ渋柿が、紅柿の起源。果肉が鮮やかな赤橙色で、味も優れていたことから周辺の柿に接ぎ木をし、名産つるし柿として好んで食べられた。天保年間には地名を取って「関根柿」と称され、すでに『上山名産名所番付』に名前が載るほどの特産品となっていた。二代目か三代目であろうといわれるが、原木は川口家の裏庭に現存する。
なお、紅柿の果実は、県内で栽培される主要なもう一品種である平核無の庄内柿と比べて繊維が多く、干し柿としての品質は良好。生産数は庄内柿を大きく下回るが、干し柿用に上山市をはじめ、県南地方で多く栽培されている。小粒な干し柿が紐で連なったまま32玉で箱詰めされ、贈答用にも重宝されている。
製造方法
柿の上の枝をT字型に切り、皮をむいて吊るすための紐をそのT字部分に結びつける。雨に当たらないよう、屋根のついた〝はせ〟と呼ばれる干し場に約2週間を目安に吊るされる。蔵王おろしと日差しによって渋みが抜け、甘みが増す。さらに、室(むろ)と呼ぶ屋内施設で数日間、火力を使って乾燥させる。酸化防止・防カビ・殺菌のための硫黄燻蒸を施す場合はこのタイミングで行い、数日外気に当ててから再び室に戻す。乾燥させた柿を一つひとつもみながら、タワシ掛けをする。これをすることで、糖分の結晶である白粉がふきやすくなる。室内で1週間ほど乾燥させると、柿から白粉がふき出し、それを合図に小粒な干し柿を32玉にまとめ、扇風機の風を当てるなどして仕上げの水分調節を行えば、いよいよ出荷の準備へと入る。
保護・継承の取り組み
12月を目安に、スーパーや直売所で販売されるほか、インターネットでも予約販売を含め、購入が可能。なお、自宅で干し柿をつくる家庭は今もある。
主な食べ方
お茶請けにそのまま食べられている。包丁でサクッと切れば、羊羹のように実の詰まった噛み応えのある食感が楽しめるほか、軽く手で揉むと柿の繊維がさらにほどけ、紅色の餡のようなしっとりとした食感が楽しめる。
また、サラダに加えたり、正月の柿なますなどに調理して食べられることもある。
アレンジレシピ:干し柿のクリームチーズ和え
材料
紅柿の干し柿
2個
クリームチーズ
50g
作り方
干し柿は細かく刻む。クリームチーズは1㎝角切りにする。
1を軽く和えて、器に盛る。