いしり、いしる
石川県いしり、いしる
分類(大)
農産
分類(小)
醤油、味噌、その他調味料
主な使用食材
いか、いわし
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主な伝承地域
能登地方
食品概要(特徴・種類)
日本三大魚醤の一つで、能登地方に伝わる魚醤のこと。さばの骨や内臓・いわしが原料のいしる、いかの内臓が原料のいしりがある。いずれも、骨や内臓を無駄にしない生活の知恵から生まれたものと言われている。味は一般的な醤油と比べると塩分濃度が高いため塩辛いが、旨味を構成する成分「総遊離アミノ酸」が多く含まれているため、海産物の旨味成分が凝縮されたおいしさを感じられる。そのためどの食材とも相性が良く、料理の隠し味として様々な料理に使用されている。能登町では新鮮な真いかが豊富に獲れるため、材料の調達から製造、加工、販売まで一人の生産者で賄うことも珍しくない。
歴史・文化、関連行事
発祥は定かではないが、1700年代後半には作られていたとされる。宇出津港近辺でとれた大漁のいかを加工するときに出る内臓を塩漬けして発酵させた汁が、魚醬のはじまりと言われている。語源に関しては、魚のことを古語で「いお」または「い」と言い、それが「いおしる→いしる、いしり」になったという説がある。かつて交通の不便な山村地域では、入手しにくい魚の代わりにいしるを用いており、米と交換していたこともあるという。
製造方法
いしるは、丸ごとのいわしを使用し、食塩を加え約半年から1年間桶の中で寝かせる。いしりは、内臓の脂肪分がいわしより多いいかに食塩を少なめに加え、約2年間桶で寝かせる。生成したいしる・いしりは桶の下層に溜まるので、桶下部の栓を抜いて取り出した液を煮沸して、ろ過、冷却、瓶詰めをする。食塩を添加することで、腐敗細菌の繁殖が抑制され、魚のたんぱく質が分解され自然発酵が行われる。晩秋から初冬にかけて仕込み、翌年の晩夏から初秋にで出来上がるのが一般的だが、能登町ではまろやかさを出すためにさらに1~2年かけて熟成させるようである。
保護・継承の取り組み
現在では穀物を原料にした醤油が普及しているため、魚醬の消費量が減少。加えて地域外の人に馴染みづらく、生産者の高齢化も問題視されている。これを受け、地元生産者や商工会が「能登のいしり・いしる生産者協議会」を設立。いしるの歴史やいしるを使ったレシピを発信したり、地元飲食店がいしるを使った新メニューを開発するなど活動はさまざまだ。また、令和5(2023)年に「能登のいしる・いしり製造術」が登録無形民俗文化財として登録されている。
主な食べ方
刺身や浅漬けのつけ醤油やいしるの貝焼き、魚介類の煮物、鍋物、焼き物、水で薄めてきゅうりやだいこんを漬ける「いしり漬け」に使用されている。最近ではフランス・イタリア料理の隠し味に使われることもあるようである。独特なにおいが苦手という人もいるが、トマトやレモン果汁など酸を加えて中和するとにおいがなくなると言われている。
アレンジレシピ:いしり・いしるのシーフードパスタ
材料
いしり・いしる
大さじ2
パスタ(1.8㎜)
240g
にんにく
1かけ
オリーブ油
大さじ1
舞茸
1パック
シーフードミックス
100g
バター(有塩)
20g
塩・粗挽き黒こしょう
各適量
青ねぎ(小口切り)
適量
作り方
パスタはタイミングを見計らい、アルデンテにゆでる。にんにくは薄切りにし、舞茸は小房に分ける。
フライパンににんにく、オリーブ油を入れて弱火で熱し、香りがしてきたら舞茸、シーフードミックスを加えて焼き、塩・粗挽き黒こしょうで味をととのえる。
茹でたパスタを加えて全体に絡まるように炒めて、バターいりしを加えて、全体に混ぜる。
器に盛り、青ねぎをちらす。